コンテスト参加記○

2003 6m&downコンテスト


 ローカルの間では「七夕行事」と呼ばれています。「ろくだんくらぶ」の残党(?)3名(JQ1AHZ,JG2TSL,JL2HIW)で、昨年に続いて「担ぎ上げ」移動を企画しましたが・・・

今年も担ぎ上げ

 昨年の6m&downコンテストは、玄岳への「ミニ担ぎ上げ」でしたが、「ミニ」だけあって、飛びも「良い!」と言えても、「抜群!」とは言えませんでした。それに比べれば1999年のフィールドデーコンテスト、宝永山への担ぎ上げコンテストは「抜群!」でした。

 昨年の6&Dで一緒に移動運用したJL2HIW良知さんは強風のためにアンテナ倒壊、それでも50MHz電信で東海2位に入賞できたものの「もっとロケの良いところに行きたい。」とのことでしたので、宝永山に登ることにしたのです。僕はお供かな・・・?、いえいえ、一応、シングルバンドの設備は持っていきます。昨年の1200MHzに続いて、今年は2400MHz電信電話です。ちなみにJL2HIW良知さんが50MHz電信、JQ1AHZ高橋さんは1200MHz電信電話としました。

設備計画

 てな訳で、今年も自作アンテナの時間です。

 2400MHzのアンテナは、ホイップ、14el,29el,29elx2となぜか4系統も持っているのですが、50MHz出身の僕としては「切れるビーム」はなかなか使いこなせません。「じゃあ、無指向性アンテナを作ってみよう」と思い立ち、21段コーリニアアンテナを作ってみました。「アンテナハンドブック」に載っていた同軸ケーブルを使用したコーリニアアンテナの記事を2400MHz用に計算しなおし、5D2Vの半端を使って作ってみたのです。自立させるためのパイプに適当なものがなかったので、JA2JSF大久保OMよりクワッド用のグラフファイバーパイプを分けていただき、それに沿わせることにしました。tnx!

 しかし、近くに局がいない上、SWR計すら持っていないため、本当にアンテナとして動作しているかどうか分かりません。そこで、荷物チェックを兼ねて、高草山へ移動運用に行ってみました。

高草山中腹です
上がっているのは50MHzのYagiだけど。

 この場所は西方向のロケが良く、浜松のレピーターにアクセスできました。14elとコーリニアで聞こえ方を比較してみました。結論から言えば、14elの方がS1〜2くらい強く聞こえました。しかし、コーリニアで聞こえないことはありません。14elの場合、ビーム方向が逸れると聞こえなくなるので、どちらが良いか判断に迷うところです。ウーン。

 2400MHzで計れるSWR計は持っていないのですが、1200MHzで計れるSWRなら持っていました。そこで、強引にもこれでSWRを計ってみました。14elはさすがに市販品だけあってかSWRが低い。では、コーリニアはどうかと言うと、最大でSWR2.5、最小で1.0。と言うのも、広い2400MHzバンドの周波数によってSWRの変動が激しいのです。「ひょっとして、同軸の長さが絡んでいるのではないだろうか?」と思いつつ、「いや、高い方が真の値かもしれない。」ということにして、SWRを下げることにしました。と言っても、コーリニアアンテナのSWRを下げる方法が良く分からず、苦戦。結局、SWRが落ちないので、諦めてしまいました。

 コンテスト1週間前。少し時間が空いたので富士山2合目太郎坊に移動運用してみました。アンテナは、コーリニア、19el、モービルホイップと3系統、用意してみました。CQを出すと、小田原市の方に呼んでいただきました。マイクロウェーブにアクティブな方のようで、いろいろ教えてもらうことができました。で、QSOの中での結論。「少しでもゲインのあるアンテナの方が良いか。」 コーリニアはSWR高いままだしね。

 担ぎ上げだということもあり、A1-CWは対応させず、F2,F3のみとしました。かと言って、ハンディー機では少し物足りないのでモービル機をもっていくことにしました。学生の頃に買ったTM-521です。

 3人の移動運用なので、担ぎ上げと言っても発電機を持っていくことにして、でも、そうすると、AC100V→DC12Vの電源が必要です。トランスバーターとモービル機の組み合わせで送信時の電流を測ると2.5Aほどでした。これだけなら安いスイッチング電源がありそうです。ヤフオク等見ていたのですが、イマイチちょうど良いのがない。で、ネットで探していると、秋月電子にACアダプター型のスイッチング電源がありました。DC12V4A、十分です。しかも、安い! 秋葉原に買いに行けるはずもなく、通信販売で手に入れました。

 トランスバーターが付くと必要な接続ケーブルの忘れ物が怖いので、モービル機とトランスバーターと電源をひとまとめにしてケーブルも接続した状態でインシュロックで固めてしまいました。

出発

 さぁ、土曜日、当日です!

 しかし、いきなりのアクシデント!!!

 朝、06:00に起きて、「今日は仕事休むよ〜」と父親に言うと「おい、それよりも、この新聞記事見てみろ!」

 写真入りのその静岡新聞の記事は火災のものでした。どこかで見たような建物・・・記事を読んでビックリ。それは建築士会でお世話になっている先輩建築士Eさんの家でした。ありゃー、燃えちゃってるよ。

 すぐにお見舞いを包んで、自転車で現場にGO! 自宅からEさんの家は割りと近くなのです。

 現場はロープが張られていて、警察の人もいました。本人はどこ行っちゃったんだろう? 「Eさんはどこにいますか?」警官の人に聞くと「えーと、その駐車場のとこにいたよ。」 探してみると、Eさんのお父さんがいました。焼けた建物を前に唖然としているEさんパパ。少し、お話して現場を後にしました・・・

 でもって、あとの2人はすでに出発しているわけで、担ぎ上げコンテストには行かねばなりません。Eさん、すぐに帰っちゃってゴメン!

 予定よりも1時間遅れて、自宅を出発。火災関連の連絡を携帯電話で時折取りながら現場に向かいます。

 富士宮の登り途中のコンビニでJL2HIW良知さんと合流しました。このコンビニ、八百屋と一緒になった感じで、富士山登山用の杖まで売っていました・・・JQ1AHZ高橋さんはすでに5合目に到着し、我々の到着を待っていました。

5合目到着

 富士山5合目にはほどなくして到着。途中、霧が少しありましたが、天気は良い感じです。

 少しダラダラしながら、荷物を広げ、それを背負子にまとめていきました。

荷物は平等にね!

 体重計を忘れたから、重さが分からないよ〜。誰の荷物が一番重たかったんだろうか?
(多分、一人辺り30kgくらい)

担ぎ上げだっ!

  で、担ぎ上げです。重いけど、頑張って行こう!

 いきなりですが、5合目から上がってすぐのところでバイオトイレに入りました。トイレには100円払って・・・(これが事件になるとは・・・トホホ)

 で、登りです。JL2HIW良知さんはちょっと苦しそう。自分もこまめに休憩しながら、なんとか6合目に到着。

6合目に到着したJL2HIW

 6合目にはお店があります。少し水が少ないなぁと思ったのと、既に喉が渇いたのでジュースを買うことにしました。財布を捜すと・・・無いなぁ。あれ?車に置いてきちったんだっけ? HIWにお金を借りてジュースを買い、休憩していました。「高橋さん、歩くの速いねぇ」JQ1AHZ高橋さんは既に先に進んでしまっていました。

 6合目は5合目からそんなに距離がなく、時折、5合目の構内放送が聞こえてきます。HIWが言いました。「あれ?片桐君の名前、今言わなかった?」 よーく、その放送を聞いてみると、ありゃりゃ、確かに言ってる。「財布の落し物です。」だって。恥ずかし−。

 5合目の電話番号を6合目の売店で聞き、携帯電話で5合目事務所と連絡をとりました。「明日、下山予定なので、預かって置いてください。」 ふー、これで安心。しかし、相変わらずドジだねぇ。>自分。

 思い返すと、バイオトイレに財布を置き忘れてしまったみたい。

 さてさて、6合目からは下りで、少し楽です。足場が悪いから少し気をつけないとね。

 段々と霧が濃くなっていまい、先に進んでいったJQ1AHZ高橋さんは見えなくなってしまいました。道も良く分からないぞー。でも瞬間的に霧が晴れた時に道が分かり、宝永河口に進んでいきました。

 宝永河口に着いて休憩。

宝永火口にて JL2HIW

高橋さんは宝永山の登りの険しい方を進んでいました。「あの、急坂を良くぞ登っているねぇ。」

 「荷物は重いけど、宝永山からの飛びはすごいぞ」、それを想像して自分もなんとか登っていきました。元々、体力が自分にはないので、少し厳しい。良知さんも厳しいみたい。50歩だけ歩いて休憩、これを何度も繰り返して進んでいきました。

登っているところ


あと少し・・・

 最後の合流ポイントに着き、あと少しの登りにチャレンジしようとしていました。良知さんは少しバテ気味で、休憩からなかなか復活しません。

良知さんの姿が見えますか?

 ところで、登っている途中から時折雨が降ってきて、また、風が強くなってきました。風のため時々立っていられなくなる。それよりも、コンテストのことで頭が一杯・・・

 と思ったら、高橋さんが下りてきた。

「宝永山の尾根はものすごい風で立っていられない。アンテナなんか立たないよ。」

 判断に迷いました。高橋さんの言うことに納得するのに少し時間が掛かりました。ここまで登って断念とは。ハンディー機で良知さんに相談。「高橋さんがそう言うならやっばり帰るしかないでしょ。」とのこと。

 でも、せっかく登ったので・・・荷物をそこで置き去りにして、とりあえず尾根まで歩いてみました。荷物が無ければ足取りも軽く、でも休憩を重ねながら15分ほどで尾根に到着。確かにすごい風。これじゃ、アンテナとばされちゃうな・・・。

 ハンディー機で430MHzを聞くと、関東の局がギッシリ聞こえました。あぁ、このロケは今年は利用できないのか。

 荷物がないと下りは楽で、荷物を置き去りにしたポイントまでは5分掛からず戻ってきました。

 落胆の中、下ることにしました。もう、コンテストが出来ないと分かると、下りなのに足取りは重い。疲れも出てきました。

で、どこ行くの?

 もうコンテスト開始まで残された時間は3時間。伊豆まで行くわけには行かないし、富士山5合目は関東に飛ばないし・・・どうしようか考えながら下山しました。トホホホホ。

 5合目に着き、無事、財布をいただきました。5合目の売店のおじさん、ありがとう。せめてものお礼に600円のお菓子のお土産を買い、1000円渡してお釣は無しにしてもらいました。

 もう、19時を超えています。とりあえず、水ケ塚駐車場まで行って、缶ジュースを買って休憩しました。ここで、移動地作戦会議です。すでにコンテスト開始までは時間が無いし・・・。

 1200/2400MHzは関東に飛ばないと相手がいないので、「それじゃ、太郎坊でも行ってみる?」ということになりました。以前、北米狙いで移動して、6mで北米とたくさんQSOできた場所です。そういえば、「6m&downコンテストの後は北米が6mが開けるんだよねー」 と言う話も冗談交じりに出ていました。北米向けに良いってことは関東向けのロケも良いわけで、富士山の中腹ってことは、西向けには全然飛ばないってことです。1200/2400MHzはなんとかなるかもしれないけど、50MHz的にはダメですね。良知さんはすでにやる気をなくしていました。

コンテスト開始

 で、雨の中、太郎坊に到着。コンテスト開始まで30分ありません。設備は簡単なので、すぐに組み立てることができ、20:55にはオンエアの準備ができました。

ちょこんと立てた14elループです。

 天気は雨で、下界の明かりがチラチラ見えます。

 CQを出すとJF1TNH/2に呼ばれ、「2400MHzでは初めてですね〜」とのんびり話していたら21:00を回ってしまいました。そういえば、ここのJCCナンバーはいくつだっけ? コンテストナンバーも判らないまま始まってしまったのでした。

 開始直後の20分で15局ほど。割りといいペースです。

 しかし、その後、ぜーーーーーんぜん呼ばれません。CQマシンのスイッチを押しつづけますが・・・

 呼びに回っても重複ばかりだし・・・いつのまにか辺りは霧に包まれていて、視界が悪くなっていました。これが原因かなぁ。

オペレート中の様子
JL2HIW 50MHz
JQ1AHZ/2 1200MHz
JG2TSL 2400MHz

2日目

 そんなわけで、たっぷり睡眠をとって次の日に備えました。明日は霧が晴れるかな?

 が、しかし、2日目になっても霧は晴れません。他の移動局は聞こえたりするのですが、その相手がまた聞こえなかったりするのです。やっぱり、霧のせいかな? あまりに暇なので、他のバンドを聞いてみました。といっても、50/1200MHzは隣で運用しているので、144MHzかな。IC-706mk2にモービルホイップをつなげたら、結構良く聞こえるので、調子にのってCQを出したらほどほどに呼ばれました。やっぱり、ロケはそんなに悪くないよね・・・2400MHzがだめなのはやっぱり霧のせいか。ちなみにバッテリーがなくなったので、その後FT-817に無線機を交換して2mSSBをやってみたのですが、5Wでもほどほどに呼ばれました。

FT-817がどこに転がっているか見える?

 その後、2400MHzも聞くのですが、なにも聞こえなかったりします。時々、聞こえる局を呼んでみても無視されたりして。もう、どうでもいいや〜。

2400MHzセットとCQマシン

 3人とも「やる気なしモード」なので、ポップコーンを作ることにしました。
JL2HIW良知さんがコンロを用意しようとしたら地面に落下させてしまい、コンロがゆがんでしまいました。

ゆがんだコンロ
でも、ポップコーン作りは成功

 1200MHz運用中の高橋さんが「なんか、あまり呼ばれなくなっちゃった。」と言うので、SWRを計ったら2以上ありました。原因を探ると、同軸ケーブルに水が入ったのが原因のようです。同軸ケーブルを交換し、水が入らないようにアンテナをスーパーの袋を覆いをしてみました。

1200MHzのヤギ(防水(?)処理後)

 まー、そんなわけで緊張感のないコンテストでした。最後まで霧が晴れないんだもん〜。

霧の中のアンテナ


ハイライト

 水ケ塚駐車場で冗談で言っていたことが本当になった!

 なんと50MHzで北米が聞こえてきたのです。JAのCQに答えてきたんだけど、ここでもなんとか了解できる! 他の局も探すと、W6QUVを発見。他に呼んでる局も少なく、QSOできちゃいました。50MHz北米とのQSOなんて、もう何年もないだろうな、と思っていたのでしたが。メーターで5くらいはピークで振っていたかも。

結果

 結果とタイムチャートはこんな感じ。

QSO point multi
36 70 25 1,750
ボロボロでした。

 来年も「七夕行事」はあるのかな〜?


 QSOしていただいた皆さん、ありがとうございました。またのQSOよろしくお願いします。


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