○ 移動運用記 ○

2001/4/9 ユニフォーム移動 再び(静岡県小笠郡菊川町牧の原台地西斜面)


Not In the Log

 サイクル23もいよいよピークを迎え、自分も貧弱な設備ながらも50MHzで未QSOエンティティーと次々とQSOできました。
しかし、ルーフタワー+ベアフットでは弱いパスに対応するのが辛い。

 2000年4月。ロングパスのヨーロッパには何とか対応できたものの、大パイルには負け負け。それでも、聞こえてくる信号はあるんです。一般的に厳しいパスと言われている「インド洋スキャッター」 このパスで5B4はQSOできたものの、JY、4Xなんかは聞こえてもQSOできなかった。特にJYはJY9NXとしてJM1CAX田原さんがアクティブにQRVしていたものの、呼んでも呼んでもなかなかピックアップしてもらえなくて、「もう少しでQSOできそうなんだけど。」という感じは残っていました。あまりパイルになっていなくても無視されてしまったり。

 んでもって、2000年11月初め。この辺りの1週間は「まさにサイクルのピーク」って感じのコンディションで、50MHzでもいろんなとこが聞こえていました。特に11月5日は西方向のコンディションが良く、午後から5B4FLが北西方向から59+で聞こえてきました。ショートパスです! 15:00頃からは同じパスでJY9NXが入感。春のスキャッターの弱さはなんだったの?って感じの信号の強さでした。ショートパスは強いわ〜。
 で、らくらくQSO。コールサインも1度でフルコピーしてもらったし。

 などと、思っていたら、QSOの直後にローカルから携帯電話に連絡が入りました。「なんで、TSLにコールバックあったのに、応答しなかったの!?」 えっ? 確かにリポートも送ったんだけど・・・ 保険QSOするのも嫌なので、その後に聞こえてきたUT5のパイルに参加したりしていました。

 不安に思って、後でJY9NXホームページを見に行くと、「6mQSOリスト」なんてのがあったので、自分のコールサインを探してみました。しかし・・・自分のコールサインがみつからない。その前後にQSOしたローカルのコールサインはあるのに。(ローカルの中には、実は自分の設備でQSOした人もいたのでした。)
 ショックに思って、田原さん宛てにメールを打つと、やはり「Not In the Log」のお答え。大ショック! やっぱり、シグナルリポートが送信されていなかったみたい。自分では送信したつもりが、設備のどこかが不調で送信されていなかったらしいのです。

 その後、ショートパスではJYはオープンせず、21世紀を迎えました。

どうしても、どうしてもJYとQSOしたい。

 2001年、春になり、JYのオープンが再びリポートされるようになりました。自宅からでは弱いパスに対応できないだろうと言うことで、JI2ZJSシャック(山の上)を借りて、500W免許を下ろしました。念願の500W免許!です。これで、弱いパスにも対応できるぞ。
 パンザマストのトップにも6mのアンテナを上げさせてもらい、時間があれば山に通ってワッチしていました。

 2001年4月8日、日曜日。夕方からクラブシャックに詰めてワッチしていました。コンディションは良く、インド洋スキャッターで中近東が入感しているようです。が、クラブシャックでは何も聞こえない! 地域差かな?とも思うのですが、静岡市内の平地の局が呼んでいる5B4が聞こえてこないのです。他にもリポートされている局がいるのですが、聞こえるのはパイルばかり。
 JYのリポートも上がるのですが、やっぱり、聞こえない。それでも、しばらくしたら聞こえてきた。でも、どうも、他の局のところよりも弱くしか聞こえていないようです。でも、ハイパワーで何とかなるかな?
 早速、CWで呼ぼうとしたのですが、SSBになっていまい、また大パイル。元々カスカスでしか聞こえていないのに、SSBで呼ぶのなんて無理。昨年、ショートパスのオープンの時にQSOしなかったのを悔やみながら、こう思いました。「次のサイクルでこんなにアクティブに6mにオンエアしてくれる局がいるとも限らない。田原さんがいる間になんとかQSOしなくては! 昨年の雪辱もあるし、どうしてもどうしてもJYとQSOしたい!」

 いくら、ハイパワーがあっても聞こえてこなければQSOできない。クラブシャックの設備のどこに不備があるのか、いろいろ考えます。
 元々、クラブシャックはHFのコンテスト向きのロケーションで、南西方向はあまり得意な方向ではないのでした。少しだけ離れたところに山が迫っていて、パンザマストのトップから見ればなんとかその山の上にアンテナが顔を出すような気もするのですが、越していないような気もする。多分、最もネックなのはロケーション。それだったら、移動運用してしまおう!
 早速、ローカルさんに電話! 「早速だけど、明日、迎撃移動しない?」 答えは「行こう、行こう!」

ロケーションを選ぶ。

 JYがスキャッターで入感する方向は、南西。とにかくこっちにさえ電波が飛べば良いのです。そこで、決定した運用地は、菊川町の牧の原台地西斜面。この場所は前サイクルで自分の初アフリカであるVQ9がQSOできた場所でもありました。台地の上で運用することも可能なのですが、少し下りた道路沿いに陣取ることにしました。背面に山が迫っているのも、アンテナゲインの向上に寄与するかもしれないし、1エリアの混信から逃げることもできるかもしれないし。
 さらにこの場所の良いところ。それは東名高速道路のインターチェンジから近くだということです。平日、夕方の移動運用なんで、当然「ユニフォーム移動」 現場からなるべく早く到着できなきゃいけないもんね。

現地までは超特急

 仕事が終わったらすぐに出発できるように、移動運用の設備を車に詰めこんで、事務所を出発。現場での作業終了が17:10。ここでさっさと仕事を打ち切ります。夕方の渋滞をかけぬけて、静岡ICへ直行。高速道路は快適で、すいすい進みます。途中でローカルさんと430MHzで連絡が付き、ほぼ同時に現地に着きそうなことが分かります。
 18:10頃に、相良牧の原ICに到着。そこから10分ほどで、現地到着! ローカルさんはすでに到着していました。

早速、設営

 夕闇迫る中、移動設備の設営。平日のこんな時間に移動運用なんて、やっぱり変かな? などと考えている場合じゃない! どうしてもJYとQSOするんじゃ! 2人でてきぱきと設営します。
 18:30頃には設営完了。今回の設備は、ローカルさんの設備と合体させた、5el Yagi-Uda"ver.Tenshi"のスタック、7段マストフルアップで13mhだ!

こんなロケーションね。南西方向抜群。 5エレ スタック。
頑張ってくれよ〜

ノイズがぁ〜

 どっちが南西かな?とビームを回すのですが、強烈なノイズが・・・無線機のSメーターは5を振っています。それも西方向。うへー、JYからの信号がかき消されちゃうんじゃないか? かなり絶望的に思って、愚痴ばかりこぼしていました。そうこうしてるうちにもう1人のローカルさんも到着。3人して、車の中にセッティングしてある無線機を覗き込みます。ノイズは人工的なもののようで、時折消えるのですが、でもこれじゃ聞こえないよ〜

車につけたIC-706mk2
こんなシンプルなシャックです。


それでも無事GET!

 それでも、それでもです、聞こえてきたんです。JY9NX! 幸い、ノイズの方向とは少しだけ違う方向から聞こえてきたのです。ノイズの方向はJYスキャッター方向よりも少しだけ西寄りなのでした。ちゃんと信号をコピーできます。QSBが深いものの、ピークではしっかり聞こえています。その強さは、昨年ショートパスで聞こえたときよりも少しだけ弱いだけという感じ。今まで聞いたスキャッターの中ではかなり強い。やっぱり、ロケが効いているのか? などと能書きが垂れてないで、早く呼んでしまえ〜!

 確実に確実にしつこくキーイング。3人共、無事にQSOできました。

 と思ったものの、昨年の一件が頭から離れず、「ひょっとしたらミスコピーされているかも。」という疑念が消えませんでした。そこで、帰宅してすぐに田原さんにメールしてみました。すぐに返信が来て、「ちゃんとQSOできてますよ。」というお答え。嬉しかった〜

 てな訳で、無事にユニフォーム移動は成功。平日だからパイルも少ないし、楽ねぇ。もちろん、移動地に駆けつけた3人とも、作業着でした!


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