コンテスト参加記○

2002 フィールドデーコンテスト


 僕がJARL 4大コンテストに初めて入賞したのは、フィールドデーコンテストで、今から13年前、1989年のことです。3.5MHz の電信電話シングルで全国1位でした。車の免許もとったばかりで、設備も大掛かりなものではありませんでした。それから各バンドのシングルバンド部門に出て、各バンドの特性を学習しました。そして、1995年頃からマルチバンド部門に参加するようになりました。
 しかし、フィールドデーコンテストにマルチバンドで参加したことはありませんでした。最大の理由は設備が大掛かりだからでしょう。6m&downだったらV/UHFだけで済むけれども、それにHFを加えるとなると・・・
 いつかはやりたいと思っていた、フィールドデーコンテストへのマルチバンドでの参加。それをやっとで実現することが出来ました。

参加部門

 マルチバンドでも電信電話部門は休む暇も無いし、体力も使い果たしてしまいそう。それに、競合する局が多く感じます。そうすると、いつものシングルオペ電信部門マルチバンドということになります。

目標

 どうせ参加するなら目標は高くします。
この段階でシングルオペ電信部門マルチバンドにおいては、ALL JA、6m&downとエリアレコードを保持しています。そうすると、やりたくなってしまうのが・・・
2エリアレコードを作る!
 ってことです。うーーん、今年も大胆な発言だ。
ちなみに2エリアレコードというのは、2001年にJM2OOI/2が出した「544x217x2=236.096」というスコアです。 出来たてのエリアレコードです。その前だったら、もう少し楽だったのに、こりゃまたレベルが上がってしまったもんだ。
 マルチがどのようにとれるかは未知数なのですが、目標は高く定め、700QSO215マルチで30万点突破としました。これを目標にしておけば、しくじって600しかできなくてもエリアレコードは出来るだろうという考えなのですが・・・

設備計画

 2002年の静岡県市町村コンテストにはマルチバンド部門に参加し、フィールドデーコンテストの予行練習としました。設備的に最もネックだったのはHFハイバンドです。そこで、新アンテナの開発を行いました。

その名も 
「逆Vスタック」です。   ジャー−ン。

 詳しくはこちらにまとめましたので御覧下さい。

 HFをワイヤー系でまとめてしまい、50/144/430MHzは自作アンテナでまとめます。小さくてもそこそこの性能が出せるヤギアンテナです。

 1200/2400MHzは市販のループアンテナです。(このバンドのアンテナをまともに作るほどの技術が無いので自作ではありません。。)
先日の6m&downコンテストで1200MHzのアンテナが不調だったため、どうしようかと思っていたら、JH2NEL山本さんのところにループアンテナのジャンクがあるとのこと。さっそくいただいてレストアしました。ブームが長かったので、切ってしまい21エレにしてしました。設備的に余裕が無いので今回はアンテナ2本作戦はナシです。tnx JH2NEL。

 無線機はいつも使っているのをそのまま使いました。

 コンピューターは486-50MHzの中古ノートパソコンが壊れてしまったので、Windowsマシンを持っていきました。これ、時々熱暴走して危険なんだけどね・・・

移動地へ

 今回は木曜日のうちに準備を済ませておきました。

今回も満載です。

 金曜日夜、仕事が終わったら風呂に入ってすぐに出発です。
移動場所は滝知山。メジャーな移動地なので、場所取り合戦に勝てるか不安です。

 今回は少し早めの出発だったので交通量も多かったです。いつものルートを通って、暗闇の中、滝知山に到着。やった−誰もいない。まずは場所取り成功。

まずは手始めに

 到着したら、まずは場所の確認です。と言うのも、今回は3.5MHzのアンテナやHFの逆Vスタックを含むので、広い場所を必要とするのです。給電部にするのがどこに良いのか、見極めながら車を停めました。

 まずはテントを組み立て、その中に設備を全て入れました。車内空間を広くするためです。

 そして、仮設営です。メジャーな移動地なだけに、他の局に「ここでやってますよ!」とアピールする必要があるのです。まずは50MHzの5el"ver.Tenshi"を組みます。作業はすぐに終了.。試しにCQを出すと、地元田方郡のJA2EWNが呼んできました。すみませんね〜、1日お騒がせします。
その後JR4EUD/4ともQSOできました。西方面へは問題なく飛んでいっているようです。

お客様

 50MHzのアンテナも設営でき、車の中でアルコールを飲んで休んでいました。すると、ワンボックスの車が・・・。
僕の運用場所を通り越して、奥の方へと進んでいきました。車には4人ほどが乗っているようです。ありゃー、ここでコンテストやるつもりなのかな? 焦りました。
 車の中から注意深く観察してみました。すると、大きなテントを張り始めるではありませんか。ありゃ、ここで泊まるのか。同業者だったらどうしよう・・・・・。そうだ、こっちも派手に設営しよう。慌ててHFマストを設営し、とりあえず3.5MHz逆Vを思いっきり設営しました。エレメントを張るのに、ワンボックス車の横を通らねばなりません。それとなく聞いてみようか・・・。
 実は自分の思っていたことはとり越し苦労でした。彼らはパラグライダーを楽しむためにやってきたのでした。今晩、ここで夜を明かし、明日は朝からパラグライダーを楽しむとのこと。なーんだ。
でも、3.5MHzのアンテナだけは張っておきました。他の人が来ても、これなら良いだろう、と。
早速、3.5MHzのアンテナのSWRを計ってみると、見事に無限大。ありゃー。暗いうちは直すのも大変だから放っておこっと。
 そして、就寝。

お客様 その2

 朝、明るくなってきて目が覚める。涼しいうちに作業を行わなければならない。パラグライダーの人達も朝食をとり始めた。こちらは質素にパンだけだ。
 パンを食べていると、いかつい軍用車がやってきて駐車場の真中にドカっと停めた。ウッ、なんなんだあれは。
 中から軍服を来た人が降りてきて、なにやらモービルホイップのお化けみたいのを組み始めた。作業が一段落したのを見計らって声を掛けてみた。
 案の定と言うか、自衛隊の人だった。思い切って聞いてみる。

TSL   「これは無線か何かなんですか?」

自衛隊 「そう、自衛隊の通信訓練」

TSL   「いつまでやるんですか?」
自衛隊 「明日までだけど。」
(ひえー、もろにバッティングじゃん。)

TSL   「周波数はどこを使うのですか?」
自衛隊 「5メガか、夜は3メガかなぁ。」
(←正確な周波数は忘れた。)
(う−、ちょっと近いような。)

TSL   「何ワットなんですか?。」
自衛隊 「10ワットですよ。10ワットだからかぶらないでしょう。そちらは何ワット?」
TSL   「えっ、僕は50Wですよ。」
自衛隊 「へ−、結構出すんですね。」
TSL   「かぶっちゃいますかね?」
自衛隊 「そしたら動くからいいよ。」

(って言われてもな−、こんな至近距離じゃあ自衛隊が10Wでもこっちにかぶりそうだな。
さすがに、相手が相手だけに「ほか当たってもらえませんか?」とは言いにくいし。)

 コンテスト中にかぶったらどうしようか・・・、今の内に他の場所に逃げるべきなんだろうか?
せっかく、この場所をキープできたのに・・・

まぁ、仕方ないか、設営してしまおう。

設営

 そんなわけで、まずはHF のアンテナの設営です。
まずは不調な3.5MHz逆Vを下ろしてチェックしてみます。すると、エレメントがバランから外れていました。なーんだ。単純なミスで良かった。
 次に逆Vスタックを上げる段取りをします。上から順に、3.5MHz逆V、7〜28MHz逆スタック上エレメント、7〜28MHz逆Vスタック下エレメントとなります。逆Vスタックは後で上げるので、滑車だけ上げることにします。3.5MHzはそんなに負担にならないので、そのまま上げてしまいました。マストはFAP-816(714+1段)で、トップが15mhとなります。
 上に何も載ってないから楽だな〜と思い,調子にのってマストを伸ばしていたら・・・

やってしまいました! すっぽ抜け!!!

証拠写真はこちら。↓
FAPタイプはこれがあるよね。

ほぼフルアップの状態でのすっぽ抜けでした。マストが宙に浮いた瞬間考えました。

「どっちに倒すのが最も影響が少ないか!?」

そして、その方向に倒したのです。人も物もありません。草の上にズサーっと倒れました。

誰かに見られた?周りを見回してみましたが、自衛隊の人もパラグライダーの人も気づいていませんでした。ヨカッタ〜。

でも、実はこれをやった後、一人で笑ってしまいました。と言うのも、被害が最小限なので、何とかなるだろう、という計算があったからです。これで上にビームアンテナでも載っていたら青くなっています。いや〜、爽快、爽快(←バカ)

 気を取り直して、ワイヤーを全て巻き取り、マストを元に戻して、もう1度、設営します。今度は慎重に・・・。フルアップできました。ワイヤーアンテナの端をなるべく高くしたんと思い、ロープを思いっきり伸ばしたので、アンテナ占有面積がかなり広くなってしまいました。

 問題だったのは、調整です。SWRアナライザーがある分、ましなのですが、4バンドもあると、それぞれのエレメントが互いに影響するのと、上のアンテナと下のアンテナが互いに影響するので、4バンド共SWRを低くするのは大変でした。思いのほか、ハイバンドの帯域が狭かったです。今回は電信部門だったから良いけど、電信電話部門だと使用する周波数が広くなるので、このアンテナが使えないでしょう・・・

 ところで、ワイヤーアンテナを設営している間に、パラグライダーお泊まりグループがテントを撤収するついでに僕の作業を見にきました。なんと、このグループは全員アマ無線免許所有でした。パラグライダーの連絡用に使っているのかな? そのううちの一人は、以前アクティブに運用したことがあるとのことでした。読売1万局アワードのことやWACAのことも知っていました。ただ、QRTしてしまったのには訳があって「コールサイン再割り当てが始まって、誰が古いのか分からなくなってしまったから。」だそうです。うーん、動機としては有りえるのかなぁ。要は古くから受け継がれてきた知識が受け継がれなくなってしまったから、と考えて良いのかな。

 それでも、なんだかんがと時間を浪費してしまい、ワイヤーアンテナの調整が済んだときには、すでに正午を回っていました。

お客様、その他

 メジャーな移動地ゆえ、いろんな人とアイボールQSOできました。

JR2GGV
すぐ近くの玄岳ドライブインより
JH2YHKにて参加。
後ろに自衛隊の車両が見えます。
JE5DTSとJL4CVB
JL4CVBは昨年のQRP部門覇者
今年はコンテスト抜きで伊豆にツーリングを楽しみに来たとのこと

 パラグライダーの名所だけあって、パラグライダー関連の人とも多く話しました。その多くは無線の免許持ちでした。パラグライダーは山に向かって風が吹いていないといけない(アゲインスト)らしいのですが、この日はその逆に風が吹いていたとのことで、風向きが変わるまでは待機状態とのことでした。いろいろ話を聞いてみると結構ためになりました。変な所に不時着してしまうこともあるそうなのですが、それは風の向きを誤って読むとそうなるそうです。

開始まで

 VUHFのアンテナ設営をしようとしたら、HFのワイヤーアンテナに微妙に当たることが判明してしまいました。今回はローテーター付なのですが、ローテーターのコントローラーにビニールテープでしるしを付け、それ以上回らないようにしました。設営の失敗でした。直しようがないので、これでコンテストに挑むことになります。それでも、関東向け、関西向け、どちらにも対応できるので良しとします。
 ステーを張ったのですが、地面が固くて、ペグが折れ曲がってしまいました。こんなステーで大丈夫かな・・・? 風が強くならないことを祈ります。
 アンテナを全て設営し終わった頃には、辺りは暗くなり、霧も濃くなってきました。

アンテナ設営状況
霧で写真も良く写らない。
左がVUHFマスト。
上から
50MHz 5el
430MHz 15el/144MHz 7el
2400MHz 29el
1200MHz 21el
右がHFマスト。

もう開始まで2時間を切りました。コンロで湯を沸かし、カップラーメンを食べました。これ以降はまともな食事を取りません。
20時を回り、各バンドで「飛んでる!?チェック」をしてみます。

シャックの様子
3.5MHz=IC740,7-28MHz=JST-245,144-1200MHz=IC-910
この他にモービル搭載のIC706mkUを50MHzで使用、
TM-833にトランスバーターを接続して2400MHz用とした。
JST-245の下に見えるのが逆Vスタック位相切り替え機。
JST-245の上側右に少しだけ見えるのがヘッドホン切り替え機で、
左右別々のトランシーバー出力を聞けるようにしてある。
ワイヤレスヘッドホン使用。

 7MHzSSBでJA7YBP/7とQSO。高校のクラブ局のようです。問題なしです。スタックの効果も実感できます。

 21MHzSSBのJA6RL/6ともQSOしました。21MHzは遠くのエリアが少し聞こえるだけです。

 28MHzでは国内の信号が聞こえませんが、8Q7ZZからコールバックだありました。一応、飛んでいっているようです。

 50MHzでしばらくCQを出しましたが、浜松のJE2TRGとQSO出来ただけでした。見通しに近いので強力に聞こえます。

 144MHzSSBでJK4JYA/4、JK4PNC/4ともQSOできました。岡山の移動局です。西の飛びは問題ないでしょう。

 開始はどの周波数にしようか? 今回は逆Vスタックアンテナの製作に終われ、コンテストメイキングに明確な予定がありませんでした。まぁ、これだけのバンドがあるコンテストに、伊豆から参加するのが初めてだということもあるのですが・・・

コンテストスタート!

 過去の良かった経験が思い出され、なぜか144MHzから始めることにしました。数年前の6m&downで2mスタートがうまくはまったことがあったので・・・。

 21:00を回る。CQを出す。呼ばれない。CQを出す。呼ばれない。たった1分のことなのに、呼ばれないと長く感じる。
21:01にJI1CUPとQSOできた。これが今回の1局目。
その後も粘るのですが、何も呼ばれません。試しにバンドの中を聞くのですが、思いの他静かです。やはりFDは人が少ないのか?

 次に思い出したのは昨年のフィールドデー。なんて言ってもモービルホイップの部分参加で14MHzシングルで入賞してしまったんだもんね。という訳で14MHzにQSY。ちょっとワッチした感じでは、昨年ほどコンディションが良くない感じ。CQを出したり、呼んでみたり。CQを出すと立て続けに呼ばれる瞬間もありますが、すぐに空振りの連続になる。

 14MHzはコンディションに左右されるので、早いうちに出ておかないといけないと思い、21時台は我慢して14MHzを続けた。ただ、ペースが悪い分だけ裏ワッチがやりやすく、まず、1200MHzで聞こえた2局をget、続いて144MHzを西ビームで聞くとJR3EOI/3@27、JH5SPS/5@39と拾えた。ただJH5SPS/5はQSO中にコンディションが落ちてしまい、了解してもらうのに手間取ってしまった。

 22時台に入り、裏ワッチで430MHzで3局。で1200MHzを聞いてみて、聞こえた2局とQSO。21時台のQSOが結局38QSOと振るわなかったので、人気バンドに出てみることにした。

 まず、50MHz。ここで20分の間に13QSO10マルチ。マルチが結構取れた。しかし、このバンドは至近距離に移動局がいて、カブリでとてもまともに受信できない。706なんかでやるからだね。

 HFハイバンドは電離層のパスが無い感じなので、2日目に回しておくとして・・・結局7MHzにやってきた。ここなら局数が伸びる。55分留まり、60QSO、31マルチ。これで弾みがついた。

 2320頃から7MHzの呼ばれ方がにぶくなったので、50MHz裏ワッチ開始。JA5IVG/5@36、JQ3NUS/3@25と西のマルチが取れた。QRMになる局がビームをそらしたのか、カブリが少なくなったので、23:30から6mでCQに切り替た。局数を優先することにして、1エリアビーム。結構な勢いで呼ばれ始める。23:33JE8KKX/8@103から呼ばれた。アレレ?Eスポ開いてるの? 慌てて、裏ワッチでHFハイバンドを聞くが、21MHzでJE8GNN/8@114がQSOできただけだった。北海道はマルチの宝庫なので、できるだけやっておきたいのだが、他には聞こえない。仕方ないので、50MHzのCQに専念する。

 23:47にJR4FLW/4@34に呼ばれる。こっちは東向けビームなのに・・・西向きのグランドウェーブ/FAIの調子が良いのか? 西ビームに向けてCQを続ける。JA4UHD/4@31、JF6TAC@42とQSO出来た。

 7MHz、50MHzとアクティビティーの高いバンドでまとめたことで、23時台に最多ラップが出た。

21 22 23
3.5 0 0 0
7 0 31 29
14 30 2 0
21 0 0 1
28 0 0 0
50 0 13 31
144 6 1 1
430 0 4 0
1200 2 0 0
2400 0 0 0
TOTAL 38 51 62

日が変わる

 0時を超えた。21/28MHzはオープンする気配がない。さっきの50MHzの北海道はなんだったのか? 真夜中になれば閉じてしまうだろう14MHzにまた戻って、9QSO4マルチ。

 そして、00:30、真夜中の主役3.5MHzに移った。裏ワッチの連続で疲れてきたので、3.5MHzでのCQに専念した。ここまで貯めた甲斐があったのか、結構連続して呼ばれる。ニューマルチが続いて楽しい。50分で47QSO。

 真夜中しか取れないマルチもあるはずだ、と思い、3.5MHzのCQの裏で7MHz呼びまわり。ただ、狙ったほど遠くのマルチが取れたわけではなかった。

 ところで、自衛隊の影響なのか、高く上げた逆Vが効率が良すぎるのか、3.5MHzは常にNBをオンにしたようなガサガサ受信状態だった。受信機がかなり歪んでいるようだ。あープリセレクター欲しいなあ。

 V/UHFを裏ワッチしてもCQを出しているのはすでにQSO済みの一部の局だけなので、ローバンドで真夜中は固めた。3.5MHzのガサガサ状態に疲れたら7MHzに行ってみたり。今回は7〜28MHzで一本のアンテナなので、7MHzでCQを出しているときにハイバンド裏ワッチが出来ないのが少し辛い。3.5/7MHzの同時ワッチは疲れる。

 3時半過ぎになると、意識が薄くなってきて、自分でも何を打っているのか分からないような状況になってきたので、寝ることにした。目覚まし時計をセットして・・・おやすみなさい。

0 1 2 3
3.5 30 26 15 3
7 0 27 13 25
14 9 0 4 0
21 0 0 0 0
28 0 0 0 0
50 2 0 2 0
144 0 0 0 0
430 0 0 0 0
1200 0 0 0 0
2400 0 0 0 0
TOTAL 41 53 34 28

目が覚め、また戦いが始まる

 1時間の睡眠の後、コンテストに復帰。まずは発電機に給油する。辺りは明るくなり始め、暗闇から開放された心地よさを感じる。まだ、コンテストは半分も過ぎていない。
 日が完全にのぼるまでにやっておかねばならないこと。それは、3.5MHzでの局数の積み上げだ。この時点で74QSO。どうしても100には乗せたい。

 バンドをワッチすると、やけに静かに聞こえる。車の外を見ると、いつのまにか自衛隊の車がいない。夜のうちに撤収したのか? 抑圧を受けていない状況になり、受信がいきなり楽になった。抑圧が自衛隊の車のせいなのか、バンドがオープンし過ぎていたせいか、どちらかなのか分からない。ただ、もう遠くの局は聞こえなくなっているようだ。それでも、1〜3エリアまでは聞こえるので、3.5MHzで粘りのCQを始める。早起きした皆さんに呼んでもらえる。

 ただ、一気に呼ばれる感じではないので、裏ワッチで呼びに回り144/430MHzを少しずつ上乗せする。3.5MHzが比較的すいているので呼びに回っている間も周波数がキープできる。そのため、割と快適にデャアルワッチをこなせた。
 06:10頃になると、3.5MHzで空振りCQが続く。何とか100も越したので、これで3.5MHzには見切りをつけて7MHzに移った。
こちらも快調にこなせ、07:00まで留まった。裏で50MHz呼び回り。
 呼び回りのペースの方が良くなったので、7MHzを手放して、少しだけ50MHzの呼び回りに集中。

4 5 6
3.5 5 25 7
7 0 4 26
14 0 0 1
21 0 0 0
28 0 0 0
50 0 3 7
144 0 4 0
430 0 3 0
1200 0 0 0
2400 0 0 0
TOTAL 5 39 41

 7時を回り、辺りも完全に明るくなってきたので14MHzにQSY。北海道が聞こえるので局を探すが、あまり聞こえない。聞こえる局だけこなして、21/28MHzと回るが近くの局しか聞こえない。1200MHzでも2QSO。呼び回り主体のため、同時ワッチで2つの無線機のダイアルを互い違いに回している状態。

 8時台も同じような状況で、ただ、ハイバンドが良くはないものの、悪くもないので、「今のうちに」という感じで、我慢してかせいでおく。

 ここで、忘れ去られたバンドを思い出す。ここまでゼロQSOの2400MHz。実は、トラバタ親機のTM833の電源は入りっ放しだったのに何も聞こえない。よく見たら、トラバタの電源が入ってなかった。接続ケーブルが短かった関係で、トラバタは後部座席の合間に埋もれていた。そのために操作面が見えなかったのだ。

後部座席の合間に埋まったトラバタ

 改めてセッティングし直して、2400MHzをワッチするが、常連クラブ局しか聞こえない。でも、このバンドはマルチが市区郡と、「おいしい」バンドなので、QSOのペースは落ちたが、なんとか3QSOをこなした。もっと出来ればよかったのだが・・・

 9時台は14/21MHzに30分ずつ使った。グランドウェーブと電離層伝播が半分ずつだ。こういうシチュエーションは関東までグランドウェーブが飛ぶロケには有利なはずだ。北海道も強く聞こえる局があるのだが、局がいないのか閑散としている。

 10時台は7/28MHzを半分ずつ。144MHzでも少しだけCQを出してみた。マルチも少しずつ補完。144MHzの@18がやっとで取れる。

 11時台入ってすぐの144MHzのCQにはなぜか立て続けに呼ばれて8分で8QSO。その後430MHzで@13,@18,@07と雑魚マルチを埋めた。各バンドを渡り歩いたのでQSOは少ないが、雑魚マルチを結構押さえた。

7 8 9 10 11
3.5 0 0 0 0 0
7 2 0 0 18 6
14 11 9 20 3 1
21 9 4 19 0 5
28 7 1 0 13 2
50 4 15 0 0 4
144 0 4 0 7 9
430 0 1 0 0 6
1200 2 0 0 0 0
2400 0 1 2 0 0
TOTAL 35 35 41 41 33

残りの3時間

 ハイバンドのオープンの期待が薄いので、局数で固めることにした。主軸は7MHzで、時折他のバンドにも出てみる。そうして3時間をまとめることにした。焦りが出てくると、グッとペースダウンしてしまう。7MHzを主軸にすればある程度の局数は確保できるので、堅い攻め方にはなる。
と言っても、7MHzにずっと留まるわけではない。他のバンドの様子も見ながら,ペースダウンしそうになったら7MHzに戻ってくるという感じだ。
逆Vスタックの動作は良好のようで、7MHzで周波数を確保しつづけるには苦労しなくても良かった。

 13時台後半と14時台前半に14MHzで@06.@34,@31、21MHzで@40,@108とニューマルチを増やしているのだが、それらで「もうマルチは良いかな。」と判断して7MHzに戻ってしまった。これは「堅い組み立て方」をするため゛自分を落ち着かせるためでもあった。局数的にも何とか700に乗せたいという気持ちが大きかったのも7MHzに戻った要因だろう。

 確かに、最後の30分は7MHzで22QSOと、まぁそこそこのペースだったので失敗ではなかった。しかし、この時間、ハイバンドがオープンしたようだ。今回は、7〜28MHzで1本のアンテナで7MHzの裏でハイバンドをやることができなかった。最後の30分では7MHzの@02しかマルチを増やしていないのだが、もしもハイバンドでマルチを増やしていれば、もう少しスコアが伸びたのだろうか?

12 13 14
3.5 0 0 0
7 16 21 22
14 6 3 8
21 0 2 4
28 3 1 0
50 13 4 4
144 0 2 0
430 0 4 0
1200 0 0 0
2400 0 0 0
TOTAL 38 37 38

撤収

 今回は雨にも降られず、無事18時間を過ごすことができた。
撤収前に、お湯を暖めてカップラーメンを食べた。フルオペできた達成感、それと案外あっさりと更新できたエリアレコード。ただ、個人的には700QSO、30万点には到達できず、少し引っかかるところはあった。
 撤収時、段々と風が強くなってきた。大型アンテナは無いが、ステーを外したら、オバケマストが風になびいていた。

撤収前のアンテナの様子
アンテナ全景
逆光で良くうつっていませんね。
横から見ると・・・
ちょっと曲がり過ぎかな。
ステーを外したHFアンテナ用マスト
屋根の上は同軸だらけ。
いつのまにかねじが緩んで、
同軸の重さに耐えられず
2400MHzのビームが変な方向を向いていた。

 ワイヤーだらけで、絡まってしまうのを必死にくいとめながら撤収した。撤収してしまうとコンパクトにまとまるので、車の屋根の上はマストが2本ついているだけ。シンプルなものです。
 少し時間が掛かったものの、大きな渋滞にもはまらず、無事帰宅。

結果

QSO BAND/TOTAL MULTI MULTI/QSO TOTAL SCORE
3.5 111 16.1% 37 33.3%
7 240 34.8% 46 19.2%
14 107 15.5% 38 35.5%
21 44 6.4% 22 50.0%
28 27 3.9% 14 51.9%
50 102 14.8% 25 24.5%
144 34 4.9% 15 44.1%
430 18 2.6% 9 50.0%
1200 4 0.6% 4 100%
2400 3 0.4% 3 100%
TOTAL 690 213 30.9% 293,940

改善すべきところは多々ありますが、FDのマルチバンド初参加にしては良い結果だったと思います。
また、それが初投入の逆Vスタックアンテナによって成し遂げられたのも喜びが大きかったです。

それに、


目的のエリアレコードは達成できました!


 結果は発表されており、ビギナーズラック?で、常勝局に勝ってしまい、全国優勝となりました。

結果は→こちら。
内訳は→こちら。(少し減点されていますね。)
グラフは→こちら。(JJ1LGO局のHP)


 QSOしていただいた皆さん、ありがとうございました。またのQSOよろしくお願いします。


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