アンテナ○

移動運用用50MHz6エレ Yagi-Udaアンテナ その2(RTTY仕様)


移動運用用50MHz6エレ Yagi-Udaアンテナ(1997年6月製作)

 さて、前回の6エレを作ってから1年。いくつかの移動運用でこのアンテナを使用してきました。
飛びには不満はありませんでしたが、帯域の狭いのが気になっていました。RTTYを始めようと思っていたのですが、RTTYの周波数である50.9-51.0MHzでは、前回製作のアンテナではSWRの帯域がカバーできませんでした。

 そこで、広帯域なアンテナに作り替えることにしました。ただ、なるべく簡単に済ますため、エレメントの位置は変えないことにしました。つまり、エレメントの長さだけを変えて広帯域化しようと言うものです。今回も設計にはYOの最適化機能を使ってみました。ゲインは多少犠牲にしましたが、FMを含めて運用できるように広帯域化しました。ゲインが犠牲になると言っても、ほんの0.2dB程度ですから、あまり違いは分からないと思います。

 以下にその寸法を示します。(YOの表記方法を採用)

Position Length
25 12 10
Ref 0 45 455 996
DE 620 45 455 883
Dir 1 2005 45 455 864
DIr 2 3995 45 455 846
Dir 3 6025 45 455 846
Dir 4 7760 45 455 846

エレメントの位置、径、長さ
(エレメント中心部が太いのはエレメントブラケットを考慮してのもの)

 YOでの解析結果は以下のようになりました。
tsl66ty2のパターン
tsl66ty2の特性

 少し、低めの周波数でのSWRが高めで、ゲインのピークも上の方へずれてしまいました。
しかし、それなりの帯域は確保できました。

 ちなみに、少し補足説明すると、最適化されたYagi-Udaアンテナの性能はブーム長によってほぼ決定されます。上のビームパターンの書かれている図の、右下に三角形が書かれていますが、これは、フロントゲイン、F/R比、帯域(SWR)の3者が三角形の頂点にあり、そのどれを優先するかというものを表したものです。つまりフロントゲインを最優先すると、F/R比と帯域が悪くなります。同様にF/Rを優先すればゲインと帯域は犠牲になるし、帯域を優先するとゲインとF/Rが犠牲になります。今回は帯域を優先させた分、ゲインが悪化したということです。

 マッチングについては今回もTマッチをそのまま使用しています。前回よりも少し外側でほぼマッチングが取れました。(大体、中心から200mmくらいのところでショートさせる。)

 この時のSWR特性を、解析結果と実測とで比べてみます。(7mhでの結果)

tsl66ty2のSWR特性

 SWRボトムの周波数を同じにした時の比較です。51MHz以上になると急激にSWRがはね上がりますが、それでもメインチャンネル近辺の周波数は使用可能です。低い方の周波数は解析結果よりも低めのSWRになりました。周波数的に2点でSWRが落ちるのですが、解析と計算結果でその低い方の周波数が少し違うので、正確に解析通りにはなっていないかもしれません。でも、似ているとは言えると思います。

 さて、今回はSWRのカーブが少し解析結果と違っています。(ほとんど同じですが・・・) そこで、今回も、「F/Bvs周波数」のグラフの比較を行ってみました。以下がその結果です。

tsl66ty2のF/B特性

 F/Bの特性では、YOでの解析結果とかなり近いカーブが得られました。つまり、各周波数でのフロントゲインやF/Rのアンテナそのものの特性は解析結果とはそんなにかけ離れていないだろうことが予測できます。

 これでRTTYも移動先から運用できるようになりました。(もっとも、その割にはRTTYでの稼働率はかなり低かったりするのだが・・・(^_^;;;))


 実使用の成果ですが、丁度、このアンテナを製作した日にT88JZが開けました。その信号は強力でしたが、日曜日の午後と言うこともありパイルもそれなりに大きかったです。それでも、数度のコールで難なくQSOできました。まぁまぁ飛んでいると思います。


 このアンテナも現在(1998/10月現在)使用していますが、やはりまた不満がでてきました。まだまだ、このアンテナプロジェクトは続きます。


 この移動用大型アンテナプロジェクトと平行して、今度はお手軽移動用の小型アンテナを開発することにしました。担ぎ上げにも使用できるようにしたアンテナです。これは既に移動運用の「富士郡天子ケ岳移動」のページで紹介した「バージョン天子」というアンテナなのですが、その後、改良を加え、今に至っています。この改良版「バージョン天子」は、1998年8月のA35NQペディションにも使われ、JAとのQSOという使命を果たしてくれました。僕自身はQSOできませんでしたが、これは僕にとっても大きな喜びでした。

 この「バージョン天子」について、次回は書いてみたいと思います。(いつになるかは???)


 以上の製作、測定にはJL2HIW良知さんに協力していただきました。どうもありがとうございました。


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