コンテスト参加記○

1997全市全郡コンテスト


 今年も全市全郡コンテストに参加しました。

参加の背景

 昨年は1級建築士の製図試験の直前だった為、夜に数局呼んだだけだったので、一昨年に続いての参加となります。
(ちなみに、1級建築士はGET!しました。)

 高校(JA2YDU)〜大学(JA1YWG)時代はいつもクラブ局から運用し、また、大学卒業後もコンテストの度に大学に通ってはサポートを続けていました。これらクラブ局での経験を、今度は個人局マルチバンド部門に応用させようと、静岡に戻ってからはマルチバンド部門に参加しています。

個人局とクラブ局の違い

 学校のクラブ局と個人での参加を比較すると、大きな違いが2つあります。

 まず、当然のことですが、1人で全てをやらなければならないということです。人のせいにすることも出来ず、自分がやっただけの結果が出てくることになるのです。シングルOPでマルチバンドをこなすのですから、QSYのタイミングという大きな課題も付いてきます。

 そして、設備の問題。住宅密集地に立つ実家にはタワーもなければ、広大な土地もありません。限りある空間を利用してアンテナを設営することになります。しかし、僕の場合は少し恵まれていて、敷地が極端に細長いのです。昔からの住宅街はみんなこんな感じですね。江戸時代には道に接する長さで税金を徴収していたと聞きます。これが現在の敷地の形状にそのまま反映されているのです。7MHzは短縮しないで1/2λダイポールの架設が可能で、3.5MHzもかなり折り曲げながらも短縮しない1/2λダイポールが架設できます。でも、タワーを立てるスペースもなく、ルーフタワーでアンテナを上げるので極端に大きなアンテナは上がりません。

参加部門

 今回の参加部門ですが、「電信部門マルチバンド」としました。この夏に1アマは取れましたが、免許は100Wのままで、500Wに増力する予定もありません。電信の方が電話よりも出力が少なくても済むのは周知の事実で、コンテストでもこれは当てはまります。7MHzのヘビーQRMMのSSBで5Wや1WのQRP局を了解するのは至難の技ですが、電信ではなんら問題なくQSOできます。電信の方がフィルターを狭くできる為、実質QRMは皆無に等しいからです。

 などと、理屈をこねていますが、要は「電信電話部門だと伊豆半島の局に絶対に勝てない」からです。エリア1位でも賞状がもらえる可能性が高そうな電信部門にしたのです。

設備

 さて、参加する為には設備を整備しなければなりません。 アンテナについては特にメンテナンスせずに使うことができたので、既存のままで使うこととしました。ただ、430/1200MHzのF2電信の相手がいるかもしれないという淡い期待を込めて、430MHz=15エレ、1200MHz=21エレをルーフタワーの途中に1エリアに向けてちょこんと付けました。

アンテナの写真
ルーフタワーに上げたアンテナ
手前のポールがダイポールの給電部

 無線機も特に変更はありません。ただ、今回は2台のHF機を並べ、両方でワッチできるようにしました。JST−245には3系統のアンテナが接続出来るので、これに、3.5/7MHz=DIPOLE,14/21/28MHz=3EL,50MHz=8ELを接続します。14/21/28MHzのアンテナ系統にはアンテナ切換器を挿入し、IC−740にも接続できるようにしました。また、IC−740には自作のトランスバーターが接続してあり、144MHzにもオンエア可能になっています。

シャックの写真
シャックの様子
ごちゃごちゃしてます。


 ZLOGというロギングソフトをいつも使用するのですが、このソフトは電信の自動送出が可能です。コンピューターと無線機を接続するインターフェースは以前から使用していましたが、これにロータリースイッチを付けて、無線機の切換ができるようにしました。また、このインターフェースにはコンピューターとはパラに普通のキーヤーが接続できるようになっていて、こっちにもキーヤーが接続されています。ZLOGでは電信のスピードの可変が面倒なので、バリオームですぐにスピードが可変できるキーヤーはやっぱり必需だと思うのです。

 ヘッドホン・チェンジャーも標準装備です。5チャンネルあるうちの1つにはFMチューナーを接続しておきましたが、最後までこのポジションは使用しませんでした。

 設備をまとめるとこんな感じです。

周波数
(MHz)
無線機 周辺機器 アンテナ 高さ
(mh)
3.5/7 JST−245 2バンド1/2λダイポール
(3.5MHzは折り曲げ)
15
14/21/28 JST−245
IC−740(切換)
3エレトライバンダYagi-Uda
(ミニマルチ)
16
50 JST−245 8エレYagi-Uda
(自作)
18
144 IC−740 自作トランスバーター
2SC2782アンプ
14エレYagi-Uda
(JA9BOHタイプ 自作)
17
430 FT−712H 低周波発振器 15エレYagi-Uda
(マスプロ)
15
1200 TM−521 低周波発振器 21エレループ
(アラキ)
15


目標値の設定

 さて、今回はハムフェアで購入した、きゅ〜あるえるクラブの「コンテストガイドブック」に刺激され、自分の過去のコンテスト参加データをまとめてみました。データはZLOG形式で残っている為、ZACでコンバートすれば出てきます。これを元に、各バンドの時間毎のQSO数、及び、累積QSO数を表にしてみました。このデータを見ていると段々とファイトが沸いてきます。最も今まで成績の良かった今年のオールJAコンテストの結果を元に、時間毎の目標を決めることにします。これは以下のようなものでした。

時刻 3.5 14 21 28 50 144 TOTAL
04:00 210 20 45 15 290
13:00 230 150 40 20 60 20 520
21:00 250 300 80 50 10 80 30 800

 全市全郡コンテストの場合、マルチは局数をこなすことで自然と取れるので、大きく意識することは必要ではないようです。常にコンディションとQSOレートを頭に入れてバンドを選択するのが良いようです。

 過去の入賞記録を見ると、713QSOが2エリアの同部門のレコードなので、これをクリアすればエリア1位にはなれそうです。800QSOという目標は理想ですが・・・


10日に仕事が!

 さてさて、おおよその準備が整ったところで、10日にどうしてもやらなければいけない仕事ができてしまいました。しかし、この仕事、現場が自宅から至近距離の為、うまく行けばタイムロスが30分程度で済みそうです。このくらいのタイムロスならば穴を埋めることもできるかもしれない、これをバネにして頑張ってみることにしてみます。


当日のドキュメント

 10月9日はやってきました。コンテストの前はいつもわくわくします。仕事も適当に終わり、食事。近くの商店街に行って食料や栄養ドリンク、それに暇つぶし用(失礼!)の雑誌を買ってきました。風呂にも入り、20:00にはシャックにいました。

 20:30頃まで各バンドを聞いていました。50MHzや430MHzではコンテスト直前のラグチューが聞こえます。ハイバンドはパッとせず、やっぱり当初の予定通り3.5MHzで始めることにしました。CWバンドもまだ混雑していないので、ゆっくりとCQを出して、JA6IP,JA1SCO各OMとQSOしました。JA1SCOとのQSOはほぼ20:59に終了し、非常に良いタイミングでコンテストに突入することができました。周波数も割と下になる、3.514MHzを確保できました。


 21:01、1分間のCQの後、初めに呼んできていただいたのはJE2HEUでした。そこからはそんなにパイルUPにはならないものの、QSOを重ねていきます。

3.5 14 21 28 50 144 430 TOTAL
22:00 49(49) 49(49)
23:00 96(47) 1(1) 97(48)
00:00 138(42) 2(1) 4(4) 144(47)

 上記は累積QSO数です。括弧内はその時刻から1時間前からのQSO数です。

 14MHzはそれなりにコンディションが良さそうなのですが、QSOレートの高そうな3.5MHzに日が変わるまでは集中しました。ただ、そんなに沢山は呼ばれないので、CQの合間にIC−740の方で他バンドでチョコチョコ呼びに回ってみました。 7MHzは呼ぶにしてもレートが悪そうなので無視です。

3.5 14 21 28 50 144 430 TOTAL
01:00 148(10) 4(2) 17(17) 8(4) 177(33)
02:00 167(19) 2(2) 22(5) 10(2) 205(28)
03:00 180(13) 33(11) 11(1) 230(25)
04:00 195(15) 3(1) 36(3) 11 249(19)
04:10 195 5(2) 36 11 251(2)

 この時間帯は結構ばらけてます。各バンドで呼びに回るのがメインですが、3.5MHzでランニングもしました。14MHzはコンディションが落ちてしまいました。50MHzのグランドウェーブはコンディションに左右されないので片っ端から呼びに回ります。50MHzでもCQを出しますが、ランニングと言うよりウォーキングといったペースでした。 また、眠くなり、初期の集中力も欠けてきています。

 参考までに目標値との比較をしてみると

04:00 3.5 14 21 28 50 144 430 TOTAL
目標値 210 20 45 15 290
実際 195 36 11 249

 で、早くも目標を41QSOも下回っています。ただ、バンド配分は予定通りといったところです。

 04:00時台にどうにも眠くなり、就寝。

 そして、眠い目をこすりながら、 なんとか05:30に起床。

3.5 14 21 28 50 144 430 TOTAL
06:00 196(1) 17(12) 5(1) 36 11 265(14)
07:00 196 51(34) 14(9) 36 11 308(43)
08:00 203(7) 77(26) 19(5) 39(3) 11 349(41)
09:00 203 82(5) 21(2) 41(2) 14(3) 1(1) 362(13)

 7MHzの近距離も良さそうなので、一通り呼びに回ってからはランニングしました。そんなにレートが良くないので、14MHzで一通り呼びに回ったりして、また7MHzでランニング。

 08:20。144MHzで大阪の固定局とナンバー交換が成立! 結構飛ぶなぁと我ながら関心しつつ、これを最後に一旦シャックを離れます。そうです。お仕事です。現場に直行。仕事はすぐに済み、本当に30分でシャックに復帰! ロスタイムは最小限にくい止められました。08:50に冗談で430MHzF2でCQを出したら、ローカルが呼んできてくれました。これが結局唯一の430MHzのポイントになりました。

3.5 14 21 28 50 144 430 TOTAL
10:00 203 109(27) 27(6) 41 15(1) 396(34)
11:00 203 152(43) 27 4(4) 41 15 443(47)
12:00 203 173(21) 36(9) 6(2) 41 15 475(32)
13:00 203 191(18) 44(8) 8(2) 47(6) 15 509(34)


 ここも7MHzランニング中心でした。レートが悪くなりだした、11:30から1時間は14MHzに移って呼びに回り、少しCQを出してもいます。21MHzも少し覗いていますがあまり芳しくありませんでした。

 目標値との比較では

13:00 3.5 14 21 28 50 144 430 TOTAL
目標値 230 150 40 20 60 20 520
実際 203 191 44 47 15 509

 で、目標値に11QSOとかなり近づきました。7MHzが好調だったのが効いています。

3.5 14 21 28 50 144 430 TOTAL
14:00 203 235(44) 44 47 15 553(44)
15:00 204(1) 242(7) 52(8) 49(2) 15 571(18)
16:00 204 279(37) 52 49 15 608(37)
17:00 204 312(33) 53(1) 9(1) 49 15 645(33)

 14時台はランニングをやめて、各バンドで呼びに回りましたが、気合いが抜けたのか睡魔に襲われ半分は寝ていました。洗面所に行って顔を洗い、過去のデータを見ながら、気合いを入れ直して再び7MHzでランニング。実はこの時間帯、ハイバンドが良かったとか!? ただ、QSOレートのことを考えると7MHzでも良かったのかもしれません。 暗くなりだした17:00。まだまだ7MHzも行けそうですが、あまりに貧弱なハイバンドを回ることにしました。

3.5 14 21 28 50 144 430 TOTAL
18:00 204 315(3) 60(7) 21(12) 1(1) 50(1) 15 667(24)
19:00 204 315 79(19) 24(3) 3(2) 52(2) 15 693(26)

 7MHzでランニングしているのに比べて25%くらいペースを落としているので、そのまま7MHzに留まっても良かったかもしれません。ただ、コンディションの良いうちにハイバンドをつぶしておかないと、7MHzのお客さんが底を突いてしまうのではないか?とも心配になってしまうのでした。

3.5 14 21 28 50 144 430 TOTAL
20:00 226(22) 319(4) 79 24 54(2) 16(1) 722(29)

 19時台は3.5MHzのランニングをしてみましたが、空振りが続きました。それでも、呼びに回って重複ばかりよりは良いかと思い、CQを出していました。この段階で2エリアレコードを上回ることができ、一安心。

3.5 14 21 28 50 144 430 TOTAL
21:00 237(11) 323(4) 81(2) 24 60(6) 17(1) 746(24)

 7MHzは6/8エリアが強力な以外はパッとせず、3.5MHzは重複ばかりといった状況でした。最後は50MHzでCQを出して21:00を待ちました。ポロッ、ポロッと呼ばれる程度でしたが。 21:00になり、コンテスト終了。

 コンテスト後の充実感と共に、疲労感が襲ってきます。最近は平衡感覚がなくなり、フラフラした感じになります。Hi。


結果と反省点

バンド
(MHz)
交信局数 マルチ 総得点
3.5 237 201
323 258
14 81 73
21 24 24
28
50 60 56
144 17 17
430
TOTAL 746 631 470,726


 さて、今回は自分の目標は下回りましたが、2エリアレコードを更新できましたので満足しています。

 ただ、後で思い返すとやはり反省点が出てきます。

 まずは、13:00台の睡魔。これは気合いが足らなかったからかもしれません。ちょうど、ハイバンドが良かったとの話もあり、惜しいことをしています。

 次に、バンドチェンジのタイミングです。答がまだ見いだせないでいるのですが、ローバンドでランニングした方が良いのか、コンディションの良いときにハイバンドで呼びに回った方が良いのか、という選択です。日本中部から自分のような設備で参加すると、ハイバンドでランニングするのはあまり効率が良くありません。しかし、7MHz辺りにずっと居座っているとランニングのレートが落ちてくるのは事実で、その辺りの判断をどうするべきか?でしょう。特に全市全郡ではマルチが重要ではないので、ハイバンドに割いた時間をさらにしつこくローバンドでランニングした方が良かったかもしれません。



目標値との比較

 目標値との比較をしてみます。

3.5 7 14 21 28 50 144 430 TOTAL
目標値 250 300 80 50 10 80 30 800
実際 237 323 81 24 60 17 746

 3.5MHz+7MHzの合計は560で、目標の550を上回りました。これで全体の75%を稼いでいます。他のバンドが25%ですから、仮にこの2バンドだけをやり放しにしても、ひょっとすると大差無い結果になるのかもしれない・・・と思ってしまいます。

 14MHzは目標通りでした。

 21/28MHzはコンディションを把握できなかったのか、本当にコンディションが悪かったのか、低調でした。28MHzではほとんど信号を聞いていませんし、21MHzも混雑していた記憶がありません。ただ、21MHzでCQを出して、スキャッターで若干呼ばれたので、アンテナがしっかりしているか、ロケが良ければもう少しできるかもしれません。

 50MHzはいくら、Eスポが聞こえなかったと言っても、目標をかなり下回りました。144MHzもです。お客さんが思ったよりも少ないのかもしれません。

  430MHz/1200MHzは設備が無いのでA1に出られません。設備を揃えて、ランニングの合間に呼ぶことができるようになれば、少しはQSOを上乗せできるかもしれません。


 まぁ、何はともあれ、コンテストは終了しました。いろいろなことがあって、今回もコンテストを楽しむことができました。
 QSOしていただいた皆さん、どうもありがとうございました。またコンテストでお会いしましょう!


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