コンテスト参加記○

1999 ARRL international DXコンテスト


 実は、最近、家からQRVをしていなくってですね、欲求不満の毎日。1アマを取ったのに、その効力も全く使わないとはもったいない・・・。

 1アマをとったのと時期を同じくして、ローカルのOMさんに誘われるがまま、あるハムクラブに入りました。このクラブの目標の一つは「共同クラブシャック」の設立です。そのシャックも整備され、運用が出来るようになりました。1KWを合法的に出せる、自分にとっては唯一の場所です。折角出来たのだから・・・と、今回のARRL international DXコンテストはこのシャックをお借りすることにしました。どうも、他にクラブメンバーで運用する人がいないようですので。

参加部門

 昨年のWWの電話部門は、このクラブで参加しました。しかし、僕は50MHz出身ということもあり、ローバンドのコンディションをいまいち把握していません。しかし、クラブには7MHzフルサイズHB9CVなどという素晴らしい設備があります。

 自分の今までの7MHzの設備はベアフット+ダイポール。この組み合わせは、国内には強力な電波を送り込むことが出来るようなのですが、DX相手となると、大変厳しいのです。Wの局とも何局もQSOしていますが、飛んで行っても内陸部がやっと。東海岸とQSO出来たときには万々歳です。

 ローバンドの性格も知らないのもありますが、クラブのような設備で運用したら、7MHzの印象も随分と変わりそうな気もします。そんな訳で、今回は7MHzシングルOPでクラブから運用することにしました。クラブコールを使用していますし、設備もクラブのものです。ただ、シングルOPの定義に違反しないようにせねばなりません。ちなみにコールサインはJI2ZJSです。

 昨年の結果をちょうど発売されたばかりのCQ誌で見たのですが、なんとJA1YXPが600QSO以上をこなしています。ダイポール+ベアフット族には全く考えられないQSO数・・・。まぁ、今回は「7MHzに慣れるための参加」と位置付けることにします。それでもダラダラとやっていたのでは身に付きません。今まで自分の得てきた体験はなるべく反映させよう、国内コンテストで使っていた技はいろいろ使ってみよう、より高得点を目指そう・・・そんなことを考えていました。

準備

 金曜日の夜にクラブシャックに搬入を行います。移動運用でないから楽です。無線機もアンプもアンテナも全てそこにあるので。

 静岡市街に近いこともあり、回り込み等の障害を起こして他の局に混信を与えてはならないと思い、パッチンフィルターを大量に投入し、随所にしつこいほど入れました。また、トロイダルコアの巻けるところは、いろいろと巻いてしまいました。リグーリニア間はテフロン同軸でコモンモードフィルターを作成して入れておきました。ただ、一つ気がかりなことが・・・リニアアンプのコンデンサが調子悪くて、現在はコンデンサ外付けになっているのです。これが悪影響を及ぼさなければ良いけど。

 また、パソコン、キーヤー、パドルも持ち込みました。パドルはやっぱり打ち慣れたのが良いです。(ベンチャーBY−1だけど) パソコンはロギングソフトを使用するためです。

 暖房器具が電気ストーブだけでは心細いので、こたつを持ち込むことにしました。実際には、机の下にこたつを逆向きに設置し、膝の上から布団を掛けて運用しました。これが割とあったかなんだぁ。

 ついでに7MHzCWでCQを出してみました。そしたら、Wの東海岸に呼ばれてびっくり。こんなの初めての体験なのです! 逆に言うと、コンテスト中も東海岸相手にランニングできる可能性があるってことか。3局ほどQSOしたら、バンド内に市内のクラブメンバーの局がでてきたのが分かったので、その場でその人に電話してみました。電波の質について気になったのです。でも、「別に問題ないよ」とのこと。安心して(?)、キロワットを出すことにしよう。

さぁ、コンテストだ! 1日目の様子

 コンテストはいつでもわくわくします。今回のコンテストでは、コンテスト開始時刻に7MHzのパスが無いので、開始時刻には仕事をしていました。15:00くらいから運用出来れば良いかな?と思っていたので、14:00頃まで仕事をしていました。でも、気が気ではありませんでした。14:30に自宅出発。荷物は少なく、メモ用紙とCQ誌くらいのものです。

 15:00少し前にクラブシャックに到着。まずは機器のセッティングを行います。パドルを触るのも久しぶりで、うまく操作できなかったりします。パドルをたたくと、パドル本体が、あっちへちょろちょろ、こっちへちょろちょろと動いてしまう。仕方無いので、パドルのゴム足を机にビニールテープで貼り付けてしまった。これなら、強く打っても動かないぞ。

 15:05くらいからワッチを始めます。弱いながらもWの信号が聞こえます。コールサインを取るのに苦労するー。で、やっとのことでコールサインをコピーして呼んでみるも、応答が無い。うーむ、まだ早すぎるのか。それでも著名クラブ局とかはQSOしているからすごいなー。少し気後れ。

 15:30頃になったら、少しだけ信号が浮いてきたので、しつこくコールして、なんとか1局目とQSO完了。K9NS。他にもK3LRとかK1KIとか東海岸の局とQSOできました。こんな早い時間から聞こえるのねー。まだ、国内同士の和文のQSOも強力に聞こえるし、Wの方もビッグガンって雰囲気の局しか聞こえてこないので、CQを出すのは止めておきました。15:30-16:00で6QSO。

 いつも、自宅から7MHzを運用するのは、仕事が終わった17:00頃からです。この時間には大体Wの局は聞こえているので、17:00くらいまでには本格的オープンが始まるのだろうと思っていました。しかし、16:00になっても一向に信号が強くならない・・・ いつになったら良く聞こえてくるのかなーと思ったら、それは16:30でした。それまで、内陸〜東海岸しか聞こえなかったのが、強力な西海岸の局も聞こえだし、バンドがにぎやかになってきました。16:00-16:30に3QSO。16:30-17:00に10QSOです。

 17:00を回ると、もうかなりオープンしている感じで、全米が聞こえてきます。試しにCQを出してみるのですが、ポロポロッと呼ばれます。自宅からは非常に困難な東海岸に次々と呼ばれて喜んでいました。しかし、ローバンドは混信との戦いですね。ハイバンドとはちょっと様子が違う。しかも、このクラブの無線機、CWフィルターが600Hzタイプなのです。知らなかった・・・。今まで個人では250Hzフィルターがコンテスト、特にローバンドでは必需でしたので、これは大きなダメージでした。なんで、昨日気が付かなかったんだろう。仕方無いので、VBTを使用してみますが、なんとも使いにくいです。

 それでも、ここで投げ出しちゃもったいない! 頑張って、QRMの渦の中から弱い信号を拾い上げていきます。弱い信号・・・そう、いつもは僕がこの弱い信号なんでしょう、Wのビッグガンにとっては。今回は立場が逆なのか。それにしてもいつものWのビッグガンのオペレートを考えると、なんと効率の悪いオペレートを自分はやっているのだろうと思ってしまいます。下手すると、1局QSOするのに3分くらい掛けていますから・・・。

 28MHz辺りだと、ノビスの局にたくさん呼ばれたりするのですが、ここは7MHz。しかも、7025KHz以下で周波数を確保したので、上級の局しか呼んできません。でも、それはそれで良かったかもしれません。なぜなら、上級局はコールサインが短いので。QRMの隙間から断片的にコールサインをコピーするにはコールサインは短いに越したことはありませんね。

 17:00-18:00で30QSO。18:00を回るとはやくもDUPEの局が呼んできました。しかし、DUPEだなんだらと打っているのも面倒で、どんどんQSOしてしまうことにしました。呼ぶ側の心理として、「誰か他の局とQSOしている局」っていうのは呼びたくなるようです。また、他の局とのQSOでコンテストナンバーをコピーしてしまってから呼ぶ局もあるようです。事実、1回呼ばれ出すと、その後、まとめて呼ばれたりしていました。もっとも、これは混信の状況やコンディションの状況のせいもあるのでしょうけど。18:00-19:00で32QSO。でも、そのうちの5QSOがDUPEだったりします。

 漠然と目標を考えることにしました。19:00の時点で運用開始から3時間半が経過しています。ここで81QSO。00:00まで運用するとすれば、初日はあと5時間の運用です。始めのおいしい時間帯は過ぎてしまったから、同じペースでやるのは出来ないだろう・・・そしたら、1日目に最低でも150QSOをこなして2日目につなげよう。そして、最終的には300QSOを目指そう。1日目に150QSO以上、なるべくたくさんやっておけば2日目の負担は少なくなるな・・・そんなことを考えていました。目標は300QSO!

 19:00-20:00は19QSO。早速ペースダウンです。しかし、国内がスキップして受信もやりやすくなりました。実は、早い時間帯では国内の強力な信号で受信機がかなり過酷な状況だったのです。呼びに回っても、もうQSOしてしまったビッグガンばかりなので、混信と戦いながらCQを出していました。

 20:00-21:00で32QSO。21:00台は後半になったら始めました。20:30-20:40は特に調子良くて、1QSO/分でした。でも、呼ばれなくなるとCQの連続なんだよなー。20:33にはVE1ZJに呼ばれ、初めてのVEのマルチをGETできました。しかし、なんでVEの初マルチがVE7でなくてVE1なんじゃ。

 21:00を回ると、東海岸の局が聞こえなくなっていくようです。でも、内陸部〜西海岸の局はまだまだ聞こえます。21:00-22:00で18QSO。またまたペースダウンです。

 22:00-23:00は28QSO。西海岸の局が多いのだけれども、国内がスキップして混信の無い分、弱い信号も拾えるようになりました。東海岸の局も聞こえなくなっているのも、かえって呼ばれるための条件の一つかもしれません。

 眠くなってきたのですが、00:00まで粘ることにしました。しかし、00:00を回ってもまだまだ西海岸の局は強力に聞こえていて、10分だけ余分に運用してしまいました。00:10に1日目の運用終了。

 1日目が終わった時点で190QSOを越えていました。つまり、2日目は110QSO以上すれば300QSO達成な訳です。しかし、初日にこれだけやって2日目に100QSOも出来るのでしょうか・・・? このバンドのこの部門、このシチュエーションで、この後どうなるのかさっぱり見当が付きませんでした。

 この後は、さっさと家に帰って寝てしまいました。

コンテストはひとまず中断

 朝、起きて、早速クラブシャックに向かいます。今度は自分の無線機IC-740も持っていきました。自分としては、「古い無線機でも250Hzのフィルターが入っていた方がまだいいや。」という気分だったので。と同時に、クラブのOMさんにCWナローフィルターを貸してもらうように頼みました。どっちかの方法で250Hzフィルターを装着して残りのコンテストに参加できることになりそうです。

 クラブシャックには、すでに他のクラブメンバーの方がいました。なんと、朝3時に来てE44DXを狙ったとのこと。確かに7MHzのアンテナが逆を向いています。結果は無事GETできたとのことでした。その後、CWナローフィルターを持ったOMさんも登場。その場でCWフィルターを交換してしまいました。難なく作業終了。今度はちゃんとサイドが切れるようになったぞー! 自分が持参した無線機は結局使いませんでした。

 クラブの方々とフィルター談義。「CQを出すときは600Hzのフィルターを付けないと、ずれて呼んでくる局が取れないんじゃない」という意見がありまして、実際、コンテスターでも600Hzのフィルターを愛用している方は多いようです。しかし、僕は軟弱に250Hzかなー。なので、CQを出したら、RITをクルクルするのがクセになっています。また、絶えず、RITで上下の局との間隔をチェックしながら少しずつ周波数を変えたりしています。250Hzフィルターだと知らない間に至近距離に局がいたりするのです。

 さて、11:30頃になったんだけど、7MHzのWのオープンにはまだ時間があります。そう言えば、今日は浜松で「ハムの祭典」をやってるはず。会場にいるローカルのケータイに電話をしたら、「TSLも来いよ!」とのこと。まぁ、一度は行こうとしていた訳で、結局行くことにしました。高速道路を飛ばして1時間。会場が高速道路のインターチェンジ近くだったこともあり、12:30には会場到着。ジャンク漁りをしたりして、イベントを楽しみました。まぁ、買ったものと言えば、ジャンクの同軸リレーとラインフィルターくらいなんだけどね。

 なんだかんだでクラブシャックに戻って来たのは16:00過ぎ。もうWは開けていますが、前日のこの時間はまだビッグガンしか聞こえなかった訳で、まぁ、のんびりと始めました。またクラブシャックにひとりぼっちになりました。

コンテスト 2日目

 16:43。今日の1局目はKV1Wです。他には? ワッチしてみるのですが・・・うーん、もうQSOしてしまった局しか聞こえないなー。250Hzフィルターのおかげで空き周波数がないことはないです。しかし、まだ国内が良く聞こえているのでひんしゅくをかうのもヤダと思って、淡々とワッチをしていました。16時台はたったの2QSO。

 17:00を回ってしまい、「いつまでもワッチばかりじゃ当然だけど局数が伸びない!」と思い、CQを出すことにしました。ポツポツとは呼ばれ始めます。しかし、今日は250Hzフィルターのおかげでかなり楽だー。17:00-18:00で19QSOあまり。ペースはよくありません。それでも、200QSOは越えたので、目標の300QSOには届きそうかな。

 7025KHz以上になんとか周波数を確保してCQを出していました。この周波数なら上級局で無くてもオンエアできるので、少し長めのコールサインで弱めの局に呼ばれるかなーと思ったので。しかし、実際は短いコールサインばかり。時々、ノビスコールサインの局も呼んでくるのですが、そんなに多くありません。Wだと7MHzは上級局向けバンドなのかなー? 18:00-19:00で25QSO。

 この後は、段々ペースが落ちていくのだろうなー、でも呼びに回ってもビッグガンしか聞こえないし・・・やっぱりCQを出すか、という訳で、7027KHz近辺でCQを出し続けました。途中、ひどいQRMも受けましたが、空き周波数を探すのも面倒になってしまい、ねちっこく、ずーーっとCQを出していました。

 しかーし!、予想に反して、ペースは上々で、どんどんQSO数が増えます。19:00-20:00に26QSO、20:00-21:00に34QSO、21:00-22:00に35QSO、22:00-23:00に36QSO。これは前日を上回るペースです。まぁ、DUPEも多いんだけれどもね。それでも、これだけ呼ばれれば気分良いです。いつもの逆の立場なんですから。余裕で300QSOはクリア。あとは出来るだけやるよう頑張ることにします。

 23:00-00:00は29QSOで少しペースダウンしました。もう西海岸しか聞こえないので、もうそろそろ終わりだなぁ、明日も仕事だし、と思いつつ、00:00を過ぎてからは呼びに回っていました。

 数局QSOしたら、呼びに回っているVE7を発見! なんと、まだVE7とはQSOしてなかったのです。伝搬的にはCAとかと変わらないので、簡単にGETできるマルチだと思ってたんだけど。VE7ZZZとかも聞かないし、最近は珍しいのかな。こうなると、なんとかVE7を取ろうと思ってしまう。QSOが終わったのを見計らって、すぐ上の周波数でCQを連打しました。「VE7呼んでこい。VE7呼んでこい。VE7呼んでこい。」 しかーし、呼んでこない。露骨に、その局のコールサインを打って呼び出してしまった方が良かったのかな。

 実際に呼んできたのは、静岡市内のOMさん。430MHzFMの周波数を指定してきたのでQSYしてみました。すると・・・「電波の質が悪くてバンドが使えない。」とのこと。ガッビーン! 確かに気にはなっていたけれども、やっぱり恐れていたことが起こっていたか。7027KHz辺りに出ていたときは、バンドの隅っこの方だったのであまり気にならなかったが、VE7狙いでいきなり下の方でCQを出したのがクレームの決定打となってしまったらしい。戦意消失・・でも、もう00:00を回っている訳で、まだバンドはオープンしているけれども、これ以上やったら、明日の仕事が出きない! ということで、これで運用をやめることにしました。QSOは400を越えましたが、なにせDUPEが多いので、有効QSOは400を下回っていました。でも、00:00過ぎもちゃんと運用すれば400QSOは越えることができそうなのが分かりました。

結果

MHz QSO POINT multi. score rig amp ant
385 1,155 48 55,440 TS-940S Henry 2KD 1KWout フルサイズHB9CV 20mh

 まぁ、初参加の部門にしては、出来た方だとと思います。

 パイルに負けることや、呼んでも無視されることはあってけれども、自宅のベアフット+ダイポールよりも確実に飛びますね。と言うか雲泥の差ですな。だって、今まで、7MHzで東海岸から呼ばれたことなんてないもの。マルチも全エリアに渡ってGETできたのも驚きでした。VEがかなり寂しいのは残念ですが・・・。

 コンディションも何となく分かったし、この設備だとどのくらい飛ぶかってのも分かってきました。次に7MHzでDXコンテストに参加するときの参考にしてみよう。

電波が汚くて申し訳ありませんでした。

 月曜日に機材の撤収のためにクラブシャックに行きました。この時に、気になっていた電波の質について、ローカルのOMさんにモニターしてもらうことにしました。どうやら、キャリアにハムが乗っていているようです。サイドも広がり気味。また、高調波も14MHzに結構飛び込んでいるようです。ベアフットではほとんど問題がないので、リニアアンプが不調のようです。やっぱし、外付けコンデンサーがまずいのかな? 早速、直すことにします。

 今回のコンテストで、被害を受けてしまった、皆さんに謝りたいです。ごめんなさい。

 次回はクリーンな電波でコンテストしよう!


メインに戻る


ご意見、ご感想はこちらまで→jg2tsl@jarl.com