コンテスト参加記○

2000 静岡県市町村コンテスト


 静岡県市町村コンテストは、JARL静岡県支部主催の地方コンテストです。元々は沼津電信同好会の方々によって運営されていたものですが、ルールを若干変更してJARL静岡支部主催となって現在運営されています。JARL静岡支部コンテスト委員というものがこの時に組織され、私も微力ながらお手伝いしております。
 コンテストの方も毎年順調に開催され、JARL静岡支部主催となってからは今年で5回目です。
 私自身もこのコンテストの盛り上げ役として毎年参加しています。こういうコンテストは県内局が少ないと面白くないもんね。JARL静岡県支部コンテスト委員の方々もほとんどがこのコンテストに参加しています。しかも、皆さん入賞しています。「コンテスト委員は現役のコンテスターがやるべき。」だと私は考えていますので、これは悪いことではないと思います。それに実際に参加しているので、現状を常に把握していることにもなります。
 ただ、自分で自分の書類をチェックしても審査にならないので、毎年、「自分の参加した部門のログは審査しない。」というのが決まりになっています。
 ALL JAコンテストのすぐ後ということもあり、マルチバンドで参加するのは少ししんどいので、自分自身は毎年シングルバンドで参加しています。どうせシングルバンドで参加するなら・・・ということでいろんなバンドに出没しておりまして、今までに、21,7,28,14MHzに参加してきました。いずれも入賞することができています。
 で、ここまで来ると、パターンが読めるのですが、今年は3.5MHzのシングルバンドで参加してみることにしました。

目標

 3.5MHzシングルで参加するというのも今までにあまり経験がないのですが、今年も入賞を目指すことにします。ただ、今年からコンテストの開催時間が1時間延長になりました。今までの記録よりも良い記録が出るのは分かっているので、どれくらいできるか・・・?

設備計画

 3.5MHzのアンテナを探したら、数年前に作ったACコードを裂いた電線で作ったダイポールが出てきたので、これをしっかり半田付けしてもって行くことにしました。
 3.5MHzともなると、1/4λ上げるためにも20m必要な訳で、この高さまでであればなるべく高くアンテナを展開したほうが効率が良いはずです。また、エレメント端部も地面と近いと結合してしまうので、端部を持ち上げるための竹の棒(と言っても2mも無いが)も持って行くことにしました。
 無線機ですが、最近は移動でもIC-706mk2を使用していたのですが、やっぱり少し使いづらいんですね。で、思いきってJST-245を持って行きました。
 コンピューターはJA2JDR高橋さん所有の2昔前くらいのダイナブックを借りて持って行きました。DOS機として使うには十分。ZLOGをインストールし、CWのインターフェースのチェックも行いました。これで準備OK!

出発

  5/3もお仕事だったんで、積み込みは結局当日。出発も09:30になってしまいました。
途中、コンビニに寄って食料確保。10:30頃には目的地の大井川に到着。

場所探し

 今回はお手軽に大井川の土手に行く事にしました。しかし、最近行ってないから、どこに大きなアンテナを設営できるか忘れてしまったので、現地で場所探しすることにしました。
 大井川の土手はチェーンで封鎖されていれて入れません。どこかから入れないかな?と探したけれども、結局見つからず、河口まで来てしまいました。河口は野鳥公園として整備されているので、人も多く設営できそうもありません。
 少し離れた砂利の所でとも思ったのですが、野鳥公園からも近いので、きっと質問責めにあうだろうなー。大井川港の周辺も釣客が多く、設営できそうもありません。
 仕方が無いので、大井川よりも東へ戻り、駿河湾沿いの海岸線で適当なところを探しました。しかし、海岸も人は結構いて、アンテナは展開できそうもありません。すでに時刻は11:00に迫っていて、決断を迫られます。海岸線をずーっと走って、やっとで人の少なそうなところまでやってきました。20mほど先に釣り客がいましたが、そこで設営することにしました。方位磁針を振っても、丁度良い方向にアンテナが展開できそうです。

設営

 前日にエレメントを継ぎ足したりしたので、調整しなおしです。こういう時にSWRアナライザーは便利ねぇ。しかし、全長40mのアンテナだから、あっちのエレメントを短くしたら、こっちのエレメントも短くして・・・などとやるだけでも、結構大変ですねぇ。

アンテナの写真・・・って言っても見えないじゃん
アンテナの全体像を入れようとしたら、
ほとんど見えなくなってしまった。

 給電部はフジインダストリの7段−先端2段+トヨムラマストで16mくらいの高さに持ち上げました。エレメント端部についてですが、片方はフジインダストリの先端2段と、もう片方は竹の棒で高さを確保しました。ただ、ロープをかなり引っ張ったので、エレメント端部でも4m以上の地上高が確保できているはずです。
 で、いつものごとく(?)、アンテナ設営終了は11:50.10分間で発電機を回して、無線機をセッティングをするのは辛かったぁ。
 最後にコンピューターのセッティング。なんですが、コンピューターが立ちあがらないぞ−! 運搬中にハードディスクを傷めてしまったのか?

コンテスト開始

 12:00を回ったが、コンピューターは不調のままだ。仕方が無いので、紙ログに記載することにしてCWでCQを出し始めた。でも、呼ばれないね−。CWのバンドエッジ3.510MHzを確保したのにねぇ。それでも、12:04にJE3JWYに呼ばれて、これが1局目。その後、数局に呼ばれたが、すぐに打ち止め。12:10を回ったら誰も呼んでこなくなった。どうせ暇ならSSBに行ってみようと、12:20にSSBでCQを出すが、これがまた呼ばれない。CWで呼ばれたJE3JWYとちょっとお話してしまった。昼間だから、コンディションが悪いのは仕方ないよね・・・
 他にCQを出している人がいるかと言うと、1局だけいました。このコンテストでは社団局部門常勝のJI2ZGJ/2でした。さすが、この低コンディションの時間帯でもしっかりCQ出しているのね。

無線機は助手席にセッティング

じぇんじぇん呼ばれましぇーん

 12:33〜14:00までは実にQSOゼロ。この間もワッチしたり、CQ出したりしていたのですが、昼間のコンディションではどうしようもなかった。13:30頃は、コンテスト参加局どころか誰も聞こえず、バンド中ノイズだけでした。そういや、なんかノイズレベル高いな・・・と思い、ACコードを継ぎ足して発電機をさらに遠くに置くことにしました。ついでに給油。
 14:00頃にはローカルの各局が移動運用先から続けて呼んで来てくれて、組織票をGET。しかし、それを過ぎるとまたもや暇な時間帯が過ぎていく。
 14:21にSSBでCQを発見。最近アクティブな高校生コンテスターJO2FARだ。焼津の海岸にいるらしい。ここからいくらか走った場所かな?
 この時間になり、少し気になったことがおきてきた。エレメントを海岸線ギリギリに展開したため、エレメントの端部の竹の棒が今にも水没しそうになっている。そう、満潮に近づくにつれて、波打ち際はどんどん迫っているのだ。ロープ部分を短くして、竹の棒を陸地側に少し寄せた。
 その後、またもや暇になったので浮気して6mを聞きに行った。すると、すげーーパイル。どうやらブータンのようだ。しかし、こっちのベアフット+5エレ(ver.Tenshi)じゃ歯が立ちそうもなかったので、ちょっとだけ聞いて50MHzでCQコンテストを出してみた。が、ここでも誰にも呼ばれない。仕方が無いので、頑張ってCQを出している皆さんを呼びに回った。

バンドが開けだす

 3.5MHzに戻ってSSBを聞くと、1エリアのラグチューが聞こえてきた。おっ、開け始めたか。コンテスト開始から3時間でまだ10局しかQSOしていない。ここからが本当のスタートなんだろう。15時少し前からCWのバンドエッジ、3.510MHzを確保してCQを出し始めた。割とコンスタントに呼ばれ出したかな?と思ったらすぐに頭打ち。まだ1エリアくらいにしか電波が落ちていないみたい。それでも、CWとSSBを行ったり来たりして、少しずつQSOを重ねた。
 15:36、JA2JSF大久保さんが呼んできた。この時点で、さらに波打ち際が迫ってきていて「いやー、アンテナが水没しそうですよ。」なんて喋ったら「そういうのは早く手を打ったほうが良いぞ。」とアドバイスしていただいた。15:40から少しQRTして、またエレメント端部の竹の棒を動かした。これだけ動かせば、水没することはないだろう・・・と思ったけれども、実際どこまで波打ち際が迫ってくるのか分からず、まだ少しだけ不安はあった。
 15時台も後半にはコンスタントに呼ばれるようになってきた。
 こういうコンテストって、「いかにコンテストに参加していない局を呼ばせるか。」というのもテクニックだと思うんですね。コンテスト参加局だけとQSOしても、それじゃ他の人と同じスコアになるだけだもんね。16:08にSSBでQSOしたJR1XRS局は埼玉県内のモービル局だった。暇そうにCQを出しているのを見るに見かねて呼んでくれたのだろう。JARLにも入会していないし、コンテストにも当然参加していないようだが、ナンバー交換はしてくれた。アンテナは2m長のホイップだそうだ。それでも59で聞こえていた。この世界にはこの世界のコツがきっとあるんだろうなー。

追いこみ

 心配だった「アンテナ水没危機」はどうやら回避できたようだ。と言うのも、波打ち際が近づいてこなくなったのだ。
 17:00の時点で47QSO。このペースじゃ、1時間短い昨年の局数も下回りそう・・・ヤバ。
 ギリギリまでSSBで粘り、3分の空白が続いたのでCWに下りた。17:18。バンドエッジは使われていたので、なるべく下のほうで空いている周波数を探す。その結果、3.5115MHzを確保。CQを出すと早速呼ばれ出す。待ってました!とばかりに、お猿さんになってQSOを重ねる。パイルになるほどは呼ばれないので、割と効率が良かったりする。
 18:10になったら、パタっと呼ばれなくなった。そのまま最後までCWで捌いちゃえば良いやと思っていたのに、これじゃしょうがない。辺りは暗くなり始め、車内灯をつけた。
 少し冒険だったがSSBに上がってみる。CQを出している人はいない。でも、他の局の隙間を探してCQを出し始めた。3.553MHz。そしたら、これが割とヒット。「大井川町初めてでーす。」って人もいたから、結構アワードハンターも取りこめたんじゃなかろうか。結構コンスタントに局数が増える。18:22にはやっとで100QSOをクリア。18:00でコンテストが終了していたら100QSO行かなかったってことになりますねぇ。
 18:40にまた呼ばれなくなったので、最後にCWに下りた。なんとこの時間でバンドエッジ確保。3.5103MHzで呼ばれつづけた。コンテスト終了5分くらい前からハタと呼ばれなくなったから、大体の参加局とはQSOできたかな?

コンテスト終了!と思ったら・・・

 19:00の時報じゃラジオで聞いた。あー、終わった終わった。
 ほいじゃ、車のエンジン回すか・・・回らない、もう1回・・・セルモーターが回らない。ううう〜、コンテストに夢中で車内灯つけっぱなしだったの忘れてた。バッテリーがあがってしまったみたい。
 もう辺りは暗くなっていて、釣り客も誰も人影は何も見えない。あちゃー。ブースターケーブルはいつも持っているけど、助けてくれそうな人がいないんじゃん。JAFでも呼ぶか? でも、その前にいくつか試してみよう。
 まずは、24Ahのシールドバッテリーがあったのを思いだし、これをブースターケーブルでつないでみた。来る前に非常用として満充電しておいたものだ。「キュルキュ」一瞬だけセルモーターは回ったが、エンジンは始動しない。24Ahのシールドバッテリーはもう1つあった。ダイポールを調整した時に切ったACコードが少しだけ残っていたので、これでバッテリーを並列接続し、もう1度エンジンを掛けてみる。と今度はエンジンが掛かった。あー助かった。
 そういえば、発電機は回っていたから、最悪の場合でも、発電機のDC端子を使って車のバッテリーを充電するという手もあったなぁ。時間掛かりそうだけど。
 とにもかくにも、エンジンは始動できたので、しばらくアクセルを踏んで回転数を高く保った。特に問題なさそうなので、ヘッドライトをつけてアンテナ撤収!

結果

  珍しく、コンテストの次の日にはログを提出していました。結果とタイムチャートはこんな感じ。

MHz point multi. score rig ant
3.5 139 56 7,784 JST-245 1/2λ inv.V 16mh

表とグラフ

 時間帯が遅くなればなるほど局数が延びるのが分りますねぇ。VHFなんかでコンテストやると、スタートダッシュの後、どんどんペースが落ちて行くのですが、この時間設定、しかもローバンドでは時間が遅くなるにしたがって局数が増えていますね。これはこれで緊迫感があって楽しかったです。

 QSOしていただいた皆さん、ありがとうございました。またのQSOよろしくお願いします。


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