コンテスト参加記○

2002 6m&down コンテスト


 6m&downコンテストもここ数年連続して参加しています。昨年はクラブ局をローカルと作って、「初登場 全国優勝」を達成することが出来ました。しかし、連続して参加するのは負担が大きいし、元々「1回ポッキリ」と決めての参加だったので、今年は「どうしようか?」と考えていました。

 結論から言うと、昨年クラブで一緒に戦ったJL2HIW良知さんの希望で移動運用での参加を決めることにしました。今年は「なるべくイージーに」がコンセプトです。

参加部門

 マルチバンド部門は面倒なのでシングルバンドにしました。以前から続いている「シングルバンドいろいろ参加計画」も一昨年のFDで430MHzまで来ており、「じゃあ、次は1200MHzか」ということで、あっさりバンドは決定。

目標

 まぁ−、あまり気合は入ってないわけです。でも、やるからには賞状欲しいなぁ・・・。一応、昨年、クラブ局で参加したときの1200MHzの分のスコアを目標にしました。昨年は富士山から参加の2局が壮絶なバトルを演じていますが、このスコアには到底たどりつけそうもないが・・・

設備計画

 アンテナ2本計画も良いのですが、1200MHzだとGPの優位性があまりない経験が多かったので、ビームだけにしました。以前、OM局のところから撤去してきた26エレのYagi-Uda(マキ電機のものらしい)を使用することにしました。もう錆錆なんだけど、新しいアンテナ買うお金がないんです・・・
 無線機は5月に買ったIC-910を持っていきました。FT-736よりは軽いし、受信感度もよさそうなので。(この無線機を買ったのでお金がなくなったという説もアリ)
 コンピューターはあいかわらず486-50MHzの中古ノートパソコン。DOS上でZLOG使用です。これなら担ぎ上げでもし壊れても痛くないし。

出発

 朝8時出発です。JL2HIWとランデブー走行。途中、ガソリンスタンドで燃料を買い、コンビニで食料を買います。

箱根峠のコンビニにて まだ笑顔のJL2HIW

天気は曇り。雨が降っていないのは幸いです。

担ぎ上げ

 運用場所は玄岳山頂です。この山は伊豆半島でも北の方にあります。駐車場から15分ほど歩くと頂上に到着します。いちおう、360度パノラマで見渡せます。マクロに見れば丹沢などに引っかかるので、遠笠山などよりはロケ的に劣るのですが、場所取り競争が激しくないのがメリットです。(担ぎ上げしてまでコンテストやすうという人は少ない)
 駐車場に着くと、JQ1AHZ高橋さんも来ました。今日はどこでコンテストに参加しようかと迷っているところだそうです。でも、結論から言うと、一緒に担ぎ上げ参加することになりました。自分はなぜか430MHzのアンテナなどを持っていたので、高橋さんは足りない機材を家に戻って取ってくるそうな。高橋さんは、玄岳のすぐ近くに住んでいるから出来た芸当なんですね。
 で、背負子に荷物をまとめて担ぎ上げです。

荷物はこんな感じ

 シングルバンドとは言え、発電機を担ぎ上げるのはやっぱりしんどい・・・
途中、木の根元に荷物を置いて、景色を眺めます。1エリア方向は眺めが良く、電波が飛んでいくのが分かります。

左側に見えるのがドライブイン

 まぁ、そんなこんなで担ぎ上げは終わりました。上でくつろいでいると、JQ1AHZ高橋さんが真っ赤な顔をして上がってきました。結構な量の荷物を担ぎ上げたみたい・・・。

設営

 シングルバンドなのでシンプルなものです。すぐに設営完了。

まだ晴れてるけど、遠くに霧が・・・

他の2人は・・・

 JL2HIW良知さんは50MHzシングルCWで、5エレ(ver.Tenshi)を東西それぞれ向きに2本設営しました。8mh2段6本ステーです。結構設営が大変でした。
JQ1AHZ高橋さんは430MHzシングルMIXで15エレ1本です。日が明るいうちに設営できましたが、だんだん、風が強くなり霧も濃くなってきました。

左がJQ1AHZ、右がJL2HIWのアンテナ

コンテスト開始まで

 3バンド間のかぶりチェックをしていると段段暗くなってきました。かぶりチェックは差し支えない範囲でOK。
自分は比較的早くシャック設営が終わったので、お湯を暖めて、カップラーメンを作りました。そして、それを2人に配りました。あとの2人はセッティングが完了していないため、3人揃って食べるほど余裕がなく、バラバラの食事になりました。
 19:40から試しに1200MHzFMでCQを出してみました。のんびりラグチューペースです。我々の他にも移動局が何局かいましたが、至近距離にいる局はいないようです。同じ伊豆半島の局でも互いに1エリアビームだとマルチパスがひどかったり、S自体もあまり振らない場合もありますね。また、1エリアでも神奈川にはよく飛んでいくのですが、多摩地区など丹沢超えは少し弱いようです。
 20:59に呼んできたJP1RBHとQSO中にそのまま21:00を回ってしまったので、そのままコンテスト開始。周波数は1295.08MHzを確保できました。

コンテスト開始

 ほどほどに良い周波数を確保でき、呼ばれ方もそれなりに良い。ただ゛連続的には呼ばれず、パイルアップになることもまれだ。
 21:30までに32QSO。1局/分ペースだ。少し呼ばれなくなったので思い切って呼びに回ってみた。なんと言っても目立っているのはJA1YWX/2だった。なんと富士山山頂移動とのこと。よくもあそこまで担ぎ上げたねぇ・・・
 21:38。まだ人のいるうちにCWを抑えていこうと思い、A1にQSY。常連さんばかりだが6QSO。
その後、またFMに戻った。21時台は49QSO。

シャックの状況


 22時台前半はまだそれでも呼ばれるのだが、後半は呼ばれなくなってきた。

アクシデントが起こらないはずがない

 コンテスト中にアクシデントが起こるのはいつものことだ。

 風が強くなってきて、テントもペチャンコになってきた。地面に這って運用しているようだ。テントが安物なので、風が強いと骨が曲がってしまうのだ。

 外で声が聞こえた。
「あ−倒れた。」

 何かと思ってテントから外を見てみた。HIWが使用している50MHzの東向けアンテナが倒れてしまったのだ。運用を中止してAHZと2人で復旧作業をした。地盤がゆるくなってきてステーのアンカーが抜けてしまったのか。

 430MHzと1200MHzのアンテナは無事だったので、3人ともコンテストを続行した。

 しかし、ほどなくして、またさっき復旧したばかりのアンテナが倒れてしまった。どうも、固定の方法に問題があるようだ。また復旧してもすぐに倒れてしまう可能性が高いので、HIW(50MHz)は1本のアンテナだけで続行することにした。

 雨もひどい。今度はAHZが音を上げた。テントの中が浸水状態なので、コンテスト続行は不可能、とのこと。運用を中止し、下山してしまった。設備を撤収することは天候が許さない。せめて明るければ、撤収する気にもなるが、今は真夜中。設備はそのままに自宅に戻るとのことだった。AHZの家は玄岳のふもとにあるようなものなので、できる技なのだが・・・

就寝

 1時を回ると出ている局もまばらになってきた。それでも、少しでも局数を伸ばさなければならないのでCQを続ける。

 2時を回ると、ラグチューくらいしか聞こえなくなってきた。コンテストの情報交換をしているようだ。自分は他の局とはどれだけの差があるのだろうか・・・勝っているのか、負けているのか・・・。1エリア向けにはそんなに悪いロケではない。しかし、標高があまり無いので西向けにはそんなに飛んでいかない。三重のJA2IGYビーコンはSSBモードにすればキャリアは確認できるが、FMでは復調できない。その方向に狙いを定めてCQを出しても呼ばれない。マルチは1エリアと福島、静岡で精一杯か。 0エリアができていないのだが。山梨もまだ無いな。

 こちらのテントも水浸しで、水溜りでない面積が少なくなってきた。寝る前にHIWを呼ぶことにした。02:30だった。50MHzの設備はFT817にホイップだ。

こんな状態だが至近距離なので問題なし。
キーはマイクのUP/DOWNキー使用。

 ホイップだからHIW以外には聞こえないだろう・・・と思ったのだが、コンテスト終了後、JM1SZY(横浜市)に「TSL、6mCWで聞いたけど・・・。」って言われてしまった。うーん、良く聞いている人はいるもんだ。

 水にあたると、冷たく感じる。体をくねらせて、水が溜まってないところを選んで横になる。照明を消して就寝することにした。しかし、風と雨が気になって、なかなか寝付けない。

悲惨な状況

 3時を過ぎた辺りだろうか。ガサガサという音が外で聞こえた。HIWが叫んでいる。いやな予感は命中した。50MHzのもう1つのアンテナも倒れてしまったのだ。6本もステーを張ったのに・・・

 風は強く、アンテナを復旧できる状況にない。就寝するのもままならない。HIWと2人で相談した。どうしよう・・・
風と雨と暗闇。三重苦だ。

 山道は暗いし、雨に濡れた地面は滑りやすい。かと言って、テントに留まってもメリットはない。どちらも良い選択ではないのだが、どちらかを選ばなければならない状況だ。

 結論から言うと下山することにした。もう続行できない。

 テント内の機器が濡れないように覆いをし、ヘッドライトを付けて、2人で下山した。ライトの明かりは心細い。時々滑って転びそうになる。少しだけ下りると風が弱くなった。山頂近辺は障害物が無いので強風になっているようだ。

 コンテスト中に下山したのは初めてのことだった。運用を中断するのも時間がもったいないと思うのに、シャックを離れるなんて。でも、実は今回は自分は少し気が楽だった。なぜなら、1200MHz部門なので局が少ない。この時間帯は出ている局もいないので、多少のQRTは影響がないからだ。ひょっとしたら、夜が明ければ復活できるかもしれない・・・
悔しいのはHIWだろう。半年ほど前からこの日を楽しみにして準備を進めてきたのに、途中で断念するとは。

 車道が見えてきた時には、本当にホッとした。無事、下山できた・・・

 HIWの車は荷物が満載で座席を倒すことが出来ない。僕の車の中を整理して、座席を2人分、倒した。そして、ヒーターを全開にした。かっぱを脱いでも、靴下や下着も水浸しだった。でも、それは我慢して寝ることにした。風雨をしのげて、暖かい空気の中にいる幸せ・・・不安に思いながらも眠りについた。

夜が明ける

 5時30分頃。目が覚める。もう辺りは明るい。しかし、雨は止まず、風も吹いている。
天気予報をラジオで聞いてみる。好転するようなしないような・・・どちらにしても、ここは山の上。平地の予報はあまりあてにならない。
 HIWはもうQRTする覚悟のようだ。「1200MHzはまだ設備が生き残っているから、やってくればいいじゃん」と僕にはまた山に登ることを勧める。僕もその気になったが、HIWはその気にならない。結局、1人で登ることにした。

 雨も降っていて地面もぬかるんでいるし、風も止んでいないが、明るいだけ昨晩の状況よりマシだ。

 6時頃、山頂に到着。そこに見えたのは、50MHzのアンテナの悲惨な状況だった。

50MHzのアンテナはエレメントが飴のように曲がっていた。

 2系統立てた50MHzのアンテナはどちらも"ver.tenshi"だ。パーツも全く同じ、作者は自分。細かいところまで覚えている。注意深く2系統のアンテナを見ていくと、ブームはどちらも生きている。ラッキーなことに給電部は無傷だ。エレメントが何本も曲がっているが、どうやら2本のアンテナをまとめて1本にすることは可能なようだ。一人でなんとなく作業を始めたら、1本分のアンテナにはなった。

運用再開

 HIWが来ないと仕方がないので50MHzのアンテナは地面に置いて、運用を再開した。1200MHzの設備は無傷に見えたが、そうではなかった。SWRが3ある。どうやら給電部に水が入ってしまったようだ。いちおう、電波は出て行くようだし、受信もできるが、あまり良くない状況であるのは確か。無線機が故障しないのを祈りながらQSOすることにした。

 7時を回ったら、AHZとHIWが2人で上がってきた。車の中でHIWが寝ているとAHZがやってきたので、2人で登ってきたとのこと。HIWは撤収するつもりで登ってきたのだが、アンテナが組みあがっているのを見て、喜んだ。まだ運用できる!

 3人で50MHzのアンテナを立て直して、3人とも運用再開。

次のアクシデント

 担ぎ上げではあったが、今回もコンピューターロギングは使用していた。(ZLOG)
コンピューターは旧式の486/50のノートパソコンだが、DOSでロギングに使うのには問題なかった。「壊れてもいいや」そんな意識があったのだろう。多少、雨に濡れても平気で使っていた。しかし、それは当然コンピューターにとって良い環境ではない。

 09:20。コンピューターがキー入力を受け付けなくなった。キーボードに水が入ってしまったからか? タオルで拭いてみたが、状況は変わらなかった。そのうち、ソフトを動作の仕方もおかしいのに気づく。

 いくつか復旧させるための対策を講じたが、どうにもならない。HDDの中身を読むことができれば、中のデータを取り出すことは可能だ。コンピューターロギングは中止して、紙ログに移行した。紙も濡れてしまっているので、書くのに苦労するのだが。

だらだらと

 終了まではダラダラと時間が過ぎる。1局/10分くらいのペースなのだが、ここで手を抜けば負けてしまう。幸い、今年は富士山からオンエアしているのはマルチOPだし、ひょっとすればエリア1位はもらえそうかもな−と思いながら。暇な時間帯には西にもビームを振るが、浜松のJF2TARが最遠か。TARが言うには「YWX、めちゃめちゃ強い」とのこと。さすが、富士山山頂だ〜。
 昼過ぎまで山梨が無かったのだが、13:48にJA7TKH/1をみつけQSO。良かった・・・。長野もQSOしたいが局がいないのか?

コンテスト終了

 コンテスト終了直前は少しだけ気合が入り、短いCQでつないだ。少しだけ呼ばれるようになったが、そのまま終了。悪いことは全てコンテスト中に起きてしまったからか、撤収作業にはそんなに手間取らなかった。雨も止んでいた。

結果

 結果とタイムチャートはこんな感じ。

2002 6m&down CONTEST
JG2TSL/2 1200MHz 電信電話
AREA 21 22 23 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 TOTAL
1 41 21 21 13 4         1 2 5 12 6 6 7 10 11 160
  41 62 83 96 100 100 100 100 100 101 103 108 120 126 132 139 149 160  
2 8 2 1 1 1               3 2 2   1 1 22
  8 10 11 12 13 13 13 13 13 13 13 13 16 18 20 20 21 22  
7   1     1                           2
  0 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2  
TOTAL 49 24 22 14 6 0 0 0 0 1 2 5 15 8 8 7 11 12 184
  49 73 95 109 115 115 115 115 115 116 118 123 138 146 154 161 172 184  

 まぁ、こんなもんかなぁ。10年ほど前の「テレカ効果」のあった頃は、この運用地の下のドライブインで運用したJE4AEJ/2が300以上やってたから、局が少なくなっていることは確か。

 昨年のJI2ZPOが同じ場所で200以上はやっていたから、まだ伸びる余地はあるような気もするが・・・

 いずれにしても、「シングルバンドいろいろ参加計画」がこなせたので良しとしよう。


 他に有力な参加局がいないという状況のため、全国1位になったようです。


 QSOしていただいた皆さん、ありがとうございました。またのQSOよろしくお願いします。


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