コンテスト参加記○

2004 6m&down コンテスト


 てなわけで今年も6m&downコンテストに参加しました。

JL2HIW良知さんに誘われて、結局今年も
担ぎ上げをすることになりました。V/UHFのコンテストやるのだったら、もう担ぎ上げしないと納得できない体になってしまったような・・・

下見

 昨年は宝永山への担ぎ上げ移動を計画したのですが、悪天候に阻まれ、実現しませんでした。今年もそのリベンジ・・・と行きたいところですが、FDとの2連戦では少し辛いので、お手軽担ぎ上げ移動地を探しました。

昨年、フィールドデーコンテストで運用した達磨山の中腹の道路沿いのポイントでは、関東向けのロケがあまり良くないため局数が稼げず、VHFのコンテスト的にはあまり良くありません。西向けには最強な感じなのですが。山頂に行けば、関東にも飛んでいくんではなかろうか、そう思って山頂に行くことにしたのです。

1980年代にJH2KKD/2が50MHzシングルでコンテストに参加し、好成績を残したことがあると聞いたことがあります。しかし、自分でそのロケを一度体験してみないと実感が沸きません。そこで、下見とあいなります。

6月某日、暇な日曜日、午後から下見に出かけることにしました。天気も良く、霧もありませんでした。FT-817にニッカド電池を詰め、3mのノンラジアルホイップを持って山登りしました。山登りと言っても、20分もしないうちに到着しました。ハイキングですね。

夕方に差しかかる時間帯だったからか、登山道には誰もいませんでした。山頂にも誰もいない。景色は抜群。360度パノラマ状態。ロケチェックすると、50MHzの東京ビーコンが道路沿いの場所よりもはるかに良く聞こえます。三重ビーコンもバッチリです。試しにワッチをしてみると、なんとホイップアンテナでも4エリアの移動局が聞こえてきました。1エリアからのパイルも聞こえます。さすがに1W ではパイルに勝てそうもないので、CQを出してみました。神奈川と千葉の局に呼ばれ、それなりに飛んでいるようです。さらにワッチすると京都の移動局が強く聞こえてきました。呼んでみると、なんとか拾ってもらえました。1W+ホイップだと言ったら、相手も驚いていました。西にも東にも飛びそう・・・

設備と参加部門

 さて、3人で担ぎ上げ移動をすることに決まったので、参加部門はシングルバンドとなります。達磨山は関東から少し距離があるため、1200/2400MHzの飛びが期待できそうもありません。そうすると、50〜430MHzの3バンドのどれかとなるのですが、同行する2人が50/144MHzに出るので、残った430MHzに出ることにしました。

430MHzのシングルバンドでは、1999年に宝永山からFDコンテストに出たことがあります。関東に良く開けたロケからでは局数に困ることはありませんでした。しかし、西向けのパスをうまくみつけることができず、マルチが少なめとなってしまいました。

メジャーなマルチバンドコンテスターの皆さんはV/UHFでハイゲインGPを使うことがあるようです。ヤギアンテナに比べて多少のゲインのハンデがあるものの、全方向に飛ぶのはコンテスト的にはメリットがあるようです。指向性が無いため、ビームを向けることに気を使う必要がありません。人のモノマネになってしまいますが、自分もGPでやってみることにしました。3バンドGPの最高峰X7000を買ってきて、封も開けないまま移動地に持っていきました。

「GPだけでどれだけ出来るか」

これが今回の課題です。

出発

 さて、金曜日の夜です。伊豆在住のJQ1AHZ高橋さんに場所取りに先発してもらいました。なんと、タッチの差で中腹駐車場を抑えたとのこと・・・ギリギリです。
自分は21時に自宅を出発。JL2HIW良知さんとランデブー走行です。AHZと3人でラグチューをしながら伊豆を目指します。現地の天気は霧だそうな。

沼津市内のコンビニで食料を調達。

事前情報の通り、西伊豆の山の上は濃霧で慎重に進む必要がありました。

1時に現地到着。AHZはいったん家に帰り、場所取りを交代しました。そして、とりあえず、50MHzの5elをたてました。場所取りアピール用ですね。2時になってしまいました。軽くアルコールを飲み、おやすみなさい。

担ぎ上げ

 ホーホケキョ、ホーホケ、ホーホケキ、ホーホケキョ、という訳で、明るくなったらホトトギスの大合唱で目が覚めました。まだ霧が濃いです。

朝食を済ませ、ダラダラと準備をし、担ぎ上げ開始です。距離も短いので、荷物を軽めにして3往復することにしました。1回目の担ぎ上げが終わると、AHZも到着。手分けして担ぎ上げします。

担ぎ上げる前に設備チェックをしてみると予備のTM-455に電源が入らないことが発覚。まぁ、メインのIC-910Dが生きていれば良いか。

担ぎ上げは交代で行ったので、その合間に道路沿いの場所(上の写真)から50MHzでCQを出してみました。西は良く飛びますね。

セッティング

荷物があると担ぎ上げも大変。今回はシングルバンド部門ということで少し油断したら荷物の量が多めになってしまった。

2回目の担ぎ上げで山頂に着いたら霧が晴れていました。霧が晴れて分かったのは達磨山の南側の道路沿いに移動運用している人たちがいるということ。1kmない距離だと思われ、カブリが心配・・・

まぁ、それでもお昼過ぎには担ぎ上げも終了し、早速セッティングです。

 今回はZLOGを動作させるのにリブレット50を使用してみました。また、FMでCQ連呼となることも予想されるので、ボイスメモリー持参です。また、430MHzシングルということで、贅沢にもプリアンプも持参しました。以前、支部大会で買ったジャンクっぽい感じのものですが、ちゃんと動作しました。アンテンの直下型タイプですが、同軸そのものが5mしかないため、無線機の横に転がしておきました。

アンテナのセッティングも楽ちんであっと言う間に終わってしまった。ただ、あと の2人はもう少し設備系統が複雑なのでセッティングに時間が掛かっていました。その間、ワッチしてみると、144MHzSSBで高知の移動局が59で聞こえています。楽々QSO。やはりロケは良いようです。430MHzFMでCQを出すと、1エリアの局が次々と呼んできます。感触的には遠笠山や玄岳など伊豆半島の東部〜中央の移動地よりも関東方向の聞こえ方が若干悪い感じです。強い局は強いけれども、弱い局は弱いといった感じ。その分を西方向でカバーしなければなりません。

ここでトラブル発覚。安定化電源のファンから異音がでてきて、止まってしまったのです。ファンが止まると放熱が厳しそう・・・。ふたを開けて中を見るのですが、どうもファンそのものが逝ってしまった感じ・・・
この安定化電源を使わず、他のサイトから12Vを提供してもらって無線機を動かそうとしたのですが、電圧降下が激しく、送信すると電源が落ちてしまいます。ごまかしごまかし運用するしかないか。

そんなこんなで3人ともアンテナ設営完了です。

50MHz JL2HIW 5el 6mh
144MHz JQ1AHZ 7el 5mh
430MHz JG2TSL GP 4mh

50MHzと144MHzはJG2TSL設計です。

 3人とも設備がセッティングできたので、3人同時に送信してみました。計算上は照明等を含めて発電機の能力ギリギリといったところなのですが、実際には発電機のプロテクションが働きました。3人同時50Wは厳しいか。発電機はEu9iですが、予備にもう1台あるので、担ぎ上げることにしました。ついでに外付けのファンもAHZから借りることになりました。結局、4回も担ぎ上げしてしまった。

発電機2台で試運転すると全く問題なし。電源は余裕があったほうがいいもんね。

辺りが暗くなってきたので、照明を付けました。霧も濃くなってきた。結構虫が多くて少し気持ち悪い。時々、虫に刺されたりして、かゆい。

外部に蛍光灯を付け、これに虫を集めてしまいました。

コンロでお湯を沸かしてカップラーメンを食べました。これがコンテスト前、最後の食事。

20時を回り、周波数確保につとめます。各自のテントに入りコンテストにそなえました。

自分も20:40に433.34MHzでCQを出し始めました。初めに呼んできたのが鈴鹿市のJF2BKA。その後、1,2エリアから呼ばれ続けました。20:55にJM2RUVが呼んできたので、そのままラグチューに移り、21:00になるのを待ちました。

コンテスト開始

 21:00を回り、FMでそのままCQを出し続ける。21:00台は呼ばれず、21:01に7N4UWZに呼ばれたのが1局目。その後も断続的に呼ばれる。21:06にJR2ZIA/0に呼ばれるがQSBが深い。立て続けには呼ばれないのが、辛抱して続けるしかない。

はじめの30分で36局。やはり、この場所からはこんなものか。

21:33にJA3YPV/3@26に呼ばれる。FMでもくっきり聞こえて、西方向のロケを再実感。やる気が出てくる。

関東方向がイマイチと言っても、そこそこは飛んでいる訳で、21:36のJA8NNT/1@14で関東のマルチは早々に埋まった。中腹の道路沿いでは@13や@14のマルチに案外苦労したことを考えると雲泥の差。

21時台も後半になるとペースが上がってきた。呼び回り組が上の方まで上がってきたか。21時台は76QSOでそんなに悪い出だしではない。1999FDの宝永山では、初めの1時間で137QSOだったが、それは比べる相手が悪いというものか。

神奈川、千葉は見通しになるので問題ないにしても、東京や北関東もそれなりに呼んでくるので、心配したほどではなかった。また、山梨も結構呼んでくる。いつも関東いうと東にビームを振ってしまい、山梨にビームを振ることは少ない。今回はGPなので、山梨にもちゃんと飛んでいるみたい。

1,2エリアのみが続く。呼ばれ方も段々鈍ってきて、SSB/CWへのQSYを考えていた矢先、22:25にJI4UMT/4@31から呼ばれた。FMで岡山ですか・・・。QSBがあり、なんとかつなぎあわせてのQSOだった。コンディションが落ちないようにドキドキもんでした。

さらなる西のマルチを期待してFMでCQを連呼するが1局/分もきつくなってきたので22:38にCWにQSY。

まずは呼びに回るのだが、どうにもパドルが打ちにくい。なんなんだ? 訂正符号だらけでなんとかQSOしたが、これではお話にならない。回り込みか? パッチンコアを付ける場所を変えたり、セッティングを変えたりしたが、どうにも思い通りに符号にならない。実はキーヤーにASC(オートスペースコントローラー)という機能があり、これはスペースまでも正確に管理してくれるのだが、これが逆に使いずらくしている原因だった。このSWをOFFにして、いつもの感覚に戻った。

CWでCQを出すと、連続して関東の局が呼んでくる。数年前に6m&downに430MHzCWに出た頃、こんなに連続して呼ばれた記憶がない。430MHzCWの人口が増えたのか?

23:09にJA5JTE@36から呼ばれた。今回、初5エリア。

23:10に呼ばれ方がピタッと止まったので呼び回りに変更。JR3EOI/3@27とQSO。1エリアの混信にはさまれた感じだったが、思ったよりも弱かった。この後にも頻繁にEOIの信号を聞くのだが、QSOした時が最も弱かった。たまたま相手のビームが他の方向を向いていたのか、コンディションが悪かったらしい。

23:16にSSBにQSY。まずは呼びに回りJF5WCT/5で@37をゲット。一通り呼びに回ったが、イマイチな感じがして、また23:29にまたCWに戻ってきた。今度は丁寧に片っ端から呼びに回った。23:29にQSOできたJJ5ADI/5@37は強かった! しかし、1マルチは1マルチ。その後、空き周波数をみつけて、もう1度CQ。やはりペースは良くないので、またSSB。JH4UYB@35が聞こえてきた! コンディションが落ちないのを願って呼んでなんとかQSO。

2日目

00:00を超え、SSB/CWは鎮静化してきた感じなのでFMに戻ってきた。片っ端から呼んだが、途中で空き周波数をみつけてしまったので、そのままCQに変更。00:41にJA3WPN@25、00:47にJR3NZC@24と固定局で2マルチも増やしてしまった。FMでもコンスタントに関西とQSOできるとは気分が良い。

01:16にもう1度CWをのぞく。01:16にJH7PKU/2で@19をget。2エリアでも、静岡、三重、愛知の南部までは問題ないのだが、名古屋、岐阜は南アルプスから続く山々の影響で弱いらしい。PKU局も結構厳しい強さだった。

02:00。予想よりも早く発電機が止まってしまった。予想外の早さだったので、いきなり真っ暗。幸い、もう1台は回っているので、他サイトの照明で給油の準備はできた。給油をしようと外にでたら、虫集め用に外部にセットした蛍光灯に蛾がものすごい数止まっている。蛍光灯そのものが見えなくなるくらいびっしり・・・気持ちワル〜。

給油を済ませて、もう1度オンエアしてみるが、局も少ないし、眠くなってきたのでそのまま寝ることにした。
02:30。おやすみなさい。

 04:30になんとなく目が覚めた。もう少し寝ていても良かったが、目が開いたのでそのまま開始することにした。FMでCQを出すが、反応がない。CWに下りて、少しワッチ。JI6DUE/3で@22をゲット。3エリアのマルチも揃ってきた。

CWでCQを出すが、やはり反応は鈍い。その合間に朝飯を食べてしまった。カロリーメイトの味気ない食事。

,ペースが悪くても、電波を出し続けなければならないので、FMでひたすらCQマシンのボタンを押す。応答が無い時間が5分続いたりする。無理をして他の周波数を聞いたりもしなかった。

7時台にはニューマルチを狙ってSSB/CWに出てみたが、ニューマルチには結びつかない。天気は晴れ。霧も時々晴れる。

08時からは再びFM。08:16にJF4DTL/4に呼ばれ、@34をゲット。初めはずいぶん強かったので、/1かと思ったが、その後深いQSBを伴ってきたので、あわててナンバーを送った。

達磨山は4/1にできた伊豆市ということもあり、「伊豆市」を強調してCQを出したら、「伊豆市1stです」と何局かに言われた。9時台中盤にSSBでCQを出していると、09:23にJE9VWK/9局が呼んできてくれた。@29でニューマルチ。「コンテストには参加していませんが、伊豆市1stなのでよろしくお願いします。」と言われた。ちょっと得した気分。

さて、今回は明確な目標がなかった。達磨山のポテンシャルがいまいち分からなかったので、目標の設定のしようがなかったのだ。しかし、モチベーション維持のために、過去6年のベスト10を集計して持参していた。これを見ると、近年は430MHzの局数が減ってしまったからか、1万点を超えるスコアは数度しかでていない。1990年代初めには800局近くQSOしている局もあるのだが、最近は500前後がいいところらしい。マルチはそこそこ揃ってきたのだが、いまだに7エリアと一局もQSOしていない。また、新潟と滋賀もポツンと残っている。今までの飛び方から言って、この辺りはQSOできそうなのだが・・・また、4,5エリアももう少しできてもいい気がする。こんな時にビームアンテナだったら「狙い撃ち」ができるのだが、今回はGPなのでそれはできない。まぁ、GPでもこれまでそこそこできていたので、ただ単にアクティビティーがなかったということにしよう。

7時台にFMをワッチしていた時に福島の移動局をみつけたのだが、こちらからの電波が届かずに逃していた。10:22にJA1DTT/7@07をみつけた。JA1のニューカマーらしい。QSOのペースはゆっくりだが、なんとしてもこのマルチが欲しくて、数度呼び負けしたもののQSO成功。5分ほど費やしてしまった。

10:47にJF2JOUで400QSO達成。このペースで行けば500に届くか?
ペースはだらだらした感じで、爆発的には呼ばれない。我慢してCQを打ち込むしかない。

実は山頂から見えた他グループも430MHzにでており、抑圧が激しかった。GPなので、指向性で切ることもできないのはGPのデメリット。プリアンプを外してもかぶるのは同じ。なるべく周波数が離れるよう、相手がFMにでてきたら自分がCWに行ったりして、少しでも混信を減らすよう努力した。また、送受信のタイミングを一緒にしてみたり。それでも、時折、QSOできなくて終わってしまったこともあった。

ラストスパート

 と言っても、特に何かが起こるわけではない。Eスポがあるわけではないし・・・バンド全体のアクティビティーが上がる気配もない。ひたすらCQを出すのみ。

気温が上がり、テントの中は蒸し風呂状態。風が吹くと一気に涼しくなるのだけれども・・・どうもテントの通風性が悪いらしい。結構高価なテントなんだけど。

晴れるとテントの中は外部からの光で黄色くなる。テントが黄色だからか。
ヘッドホンは贅沢に赤外線コードレスタイプを使用していたのだが、この黄色い光のせいか、使用不能にってしまった。予備のヘッドホンは持っていなかったので、途中からスピーカーで続けるしかなくなった。少し騒がしいか。

目標だった1万点を途中で上回り、一安心。14:17にはJH2UVL/2で500QSOに届いた。あと40分でどれだけできるか・・・最後、混信が再び激しくなったが、なんとかそのまま走り続け、15:00を迎えた。最後、全くペースが上がる感じがしなかった。

コンテスト終了後、アンテナを完全に撤収する前に記念撮影
左から、JQ1AHZ,JL2HIW,JG2TSL

撤収

 再び霧と風が強くなってきたので、手早く撤収作業に取りかかる。担ぎ下げは担ぎ上げよりも楽なはずだが、コンテストで体力を消耗したあとなので、少々つらかった。


結果

 結果とタイムチャートはこんな感じ。

FREQ QSO
point
multi

Total 515
514
25
12,850

マルチはまだ伸びる余地がありそう。

6,8エリア以外はできた。
西に開けていると言っても、やはり1エリアが最も多い。
0エリアは全て長野だった。
1日目のスタートダッシュの後はダラダラと伸びるのみ。
1999FDの宝永山移動と比べてみました。
スタートダッシュが全然違いますね。

感想

 GPでも結構飛んだ!
(担ぎ上げロケ効果もあるが・・・)


 QSOしていただいた皆さん、ありがとうございました。またのQSOよろしくお願いします。


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