コンテスト参加記

2011 フィールドデーコンテスト


状況の変化

 結婚して、はや5年。独身時代とは大きく環境が変化しました。無線環境も変化し、移動運用の頻度がかなり減りました。コンテストについてもそうで、より良いロケーションを求めて移動運用することがなくなりました。自宅もしくはクラブシャックの設備を活用し、その範囲内で楽しめる楽しみ方を模索してきました。

 それでも、アクティビティがそれなりにあったのは、結婚しても子供が生まれなかったことにあります。そろそろ、不妊治療か?と思っていたところ、今年はじめに嫁さんの妊娠が判明しました。良かった!

 それなり順調に経過していたのですが、胎盤の位置がよろしくないということで、6月中旬に嫁さんが入院してしまいました。自分は実家で生活することもできたのですが、自宅での気ままな独身生活が始まりました。

 7月上旬、6m&downコンテスト。自宅から参加しました。静岡の平地でもそれなりに楽しめました。やっぱりコンテストは楽しい! 嫁さんが入院していると言っても、安静のための入院で、嫁さん本人はいたって元気です。1日中、病院で付き添うほどのことはないので、休みの日は自分の時間が持てるようになりました。6月まで忙しかった仕事もひと段落着いてきたところです。

 もしも、このまま順調なら、久しぶりに「移動コンテスト」をやってみよう! そう思いついてしまったのが7月の中旬です。

僕の好きな音楽

 高校生のころからプログレッシブロックが大好きで、今でも聞き続けています。中でも大好きなのは「YES」。発売されたアルバムは全て持っているし、ブートレグも何十枚も聞いた。しかし、この10年ほどは新譜が出なくて寂しい思いをしていました。メンバーも60歳を超え、もう老人の域に達しているのだろう。もう僕の好きなあの音が新譜となって出てくることはないだろう、と思っていたところ、なんとこの6月下旬に新譜がでました。「FLY FROM HERE」 当然、発売日にCDを買い、それから2週間ほど、こればかりを何度も何度も聞いていました。1970年代の往年の激しさはないにしても、この新譜は大好きになっていました。

 移動してコンテストに参加するのは、体力が必要。最近、移動コンテストしてないけど、40代の自分にかつてと同じ行動ができるんだろうか?
しかし、Yesの新譜も「We can fly from here」と僕に語りかけている。Yesは高齢になっても新譜を出してくれた。これに感化されました。歌詞の中に出てくる古いプロペラ機が、自分の持ってる古い無線機(IC-740)のようにも感じられました。

下見

 7月下旬の日曜日、久しぶりに移動地を求めての一人ドライブです。昼間は家事やら病院やらで夕方出発。参加部門を考えながらのドライブでした。本来はマルチバンド部門が楽しいのだが、結婚後は自由になるお金が減ったので、設備の更新どころか維持すら困難な情況。SO2Rをやれるほど生き残っている無線機もアンテナもありません。そこでシングルバンド部門。ローバンドに出れば、海岸でいいし、静岡市からも近いから、嫁さんに何かがあってもすぐに帰ってこれる。しかし、走ってるうちに、やはり車はかつて移動運用した地に向いていました。すぐに帰ってこれるようにと、旧由比町、旧蒲原町の辺りを走るのだが、やはり納得できない。どうせ移動運用できるなら、関東エリアにグランドウェーブで飛ばさなくては。

 7月最後の日曜日。コンテストの1週間前です。この日は4アマの講師の日でした。講師終了が15:30.講習会会場からそのまま車で箱根方面に向かいました。以前、時間も自由に取れたころは、伊豆の山々(滝知山、遠笠山、西伊豆スカイライン方面等々)に移動運用に出かけていました。あの山に行けば関東が一円拾える、あの山に行けば関西までらくらく飛んでいく、いろいろと勝手がわかっています。しかしながら、問題は場所取りです。伊豆は人気が高いので、最低でも金曜日の夜には場所を抑える必要があります。しかし、仕事が忙しくなくなったと言っても、すでに土曜日の午前中には打ち合わせの予定が入ってしまっています。そこで思いついたのが箱根方面だったのです。

 1993年フィールドデーコンテスト。JG2CEZと移動したのが箱根の北側の足柄峠でした。そういえば、最近、あの場所からコンテストに出てる局があまりいないんじゃないか?と思って、講習会会場から高速道路に乗って向かったのは足柄峠でした。
 その時は28MHz電信電話部門に参加。全国順位は4位ほどだった覚えがあるのですが、爆発的コンディションをうまく捕らえることができ、2エリア1位になれました。設備は自作の2エレデルタループにIC-740でした。
 7年ほどして、これが2エリアレコードだったと知りました。28MHzで入賞できるくらいなら、グランドウェーブの関東エリアも相手にしているはずだから、それなりに良い場所だったと覚えています。

 1時間半ほどで現地到着。雨降る中、講習会用の服からアウトドア仕様の服に着替え。FM放送、50.490MHzの東京ビーコンを聞きながら、周辺の道路を走りまくりました。神奈川県との県境になるので、静岡県側で最も良い場所を探すと、やはり、1993年のあの場所になりました。とても記憶が薄くなっているのですが、当時に比べて、格段にスペースが狭くなっていました。1990年のフィールドデーコンテストでもこの場所に来ているのですが、その時は4局で同時運用ができました。今は車2台がやっとのスペースです。

 そこでワッチしていると、50MHzでウクライナの局が聞こえてきました。ホイップアンテナでヨーロッパが聞こえるとはびっくりでした。数回、呼んだけどQSOには至りませんでしたが。

http://www.youtube.com/watch?v=_ENlvTMM7WQ

 肝心の関東エリアへのグランドウェーブですが、やはり遠笠山や滝知山に比べると弱い。関東エリアの中でも一部の地域がそれなりに強く聞こえてくる、という感じのようです。

 でも、あの足柄峠なんだから場所取りに成功する可能性は低いだろう、そう思って、富士山にも行きました。足柄峠がだめだったらこちらに向かおう。どこかにやる場所があるだろうから、と思い、太郎坊周辺をチェックして帰りました。もう深夜。

やり残したこと、周波数選定、そしてアンテナ準備

 以前の移動コンテストでは「逆Vスタックアンテナ」を考え、製作し、実際に使用していました。7MHzではそれなりに効果があったのですが、ハイバンドでの効果を良く思い出せません。確かに21MHzでデータをとったのですが、実際のコンテストではマルチバンド参加だったので、じっくり効果を実感することができませんでした。これがやり残したことです。

 逆Vスタックの最大の特徴は、2つのアンテナに給電する位相を変化させることで、打ち上げ角を変化させることができることです。Eスポで近距離が開けたときには、高い打ち上げ高が、グランドウェーブやスキャッター狙いでは低い打ち上げ高が有効なはずです。それをもう1度実感してみたい、と思いハイバンドに出ることにしました。Eスポによるコンディションは高い周波数ほどオープン時間が短いので、14MHzを選択することにしました。

 逆Vスタックアンテナはベースがマルチバンドワイヤーアンテナなので、占有面積が大きく、回転させることもできません。そこで、急遽、釣竿(4.5m 880円)を4本揃え、延長用の塩ビ管も用意し、「ロータリーダイポールスタックアンテナ」を使用することにしました。
 当日まで加工している時間が確保できず、材料のまま、当日を迎えることになります。

当日、現地へ

 金曜日の午後、嫁さんの経過は順調。何かあったらすぐに戻ってくると自分に言い聞かせつつ、計画を実行に移すことにしました。

 金曜日の夜のうちに、自宅の車庫の片隅に伸縮マスト等の移動運用資材をまとめておきました。
 また、IC-740に久しぶりに電源を入れて動作チェック。実は変調部の動作がおかしくなっていて、SSBの運用はできないのです。アイコムはすでに修理してくれないし、自分でもまだ原因を探っていない。直している暇もないのだが、今回は電信部門に参加予定なので問題なし。パソコンとの連携(リグコン)はできないけれど、脳内バンドマップで何とかしよう。2VFO装備していれば、デュアルワッチ機能がなくても、同一バンド同時CQ&呼び回りはできる。20年前、大学生の頃にバイトでお金を貯めて買ったこのIC-740に、また陽の目を見せます。

 建設業は土曜日も営業してます。しかし、今回は何としても時間を確保したいです。
午前中の仕事は長引いて、12:30まで掛かりました。その間に電話が掛かってきて、急遽資料を作らねばならなくなりました。昼食後、速攻で資料作成。現場に届けたら、もう14:30でした。実家=仕事場から発電機やら逆Vスタックセットなどを取り出して、自宅に向かいます。自宅では車庫の片隅の荷物を積んで、シングルバンド参加なのに満載状態。シャワーを浴びて着替えたらもう15:30.こんな状態で場所取りができるのか?

 はやる気持ちを抑えつつ、国道1号線→清水IC→東名高速道路→御殿場IC。途中、富士山5合目移動の7J7ACTサイモンさんと430MHzFMで交信できました。どこの移動地もコンテスト参加局で一杯なのかなぁ・・・もちろん、BGMは「FLY FROM HERE」(Yes)
御殿場ICを降りて、まずは給油。ガソリンタンクにも10L入れます。さらに隣のコンビニで2日分の食糧確保。
 カーナビに任せて、先週と同じ道を通ろうとしたら、なんと地元のお祭りで通行止め状態! 仕方無しに訳もわからず迂回。御殿場アウトレットの裏側の方から回り込んだら、何とか足柄駅の方面に行くことができました。ナビに何回「リルートします。」と言われたことか・・・

 足柄峠へのクネクネした山道を上っていきます。空は曇り空。何とかまだ雨は降っていないし、辺りは明るいです。でもすでに17:00を回っています。場所取りができなかったら、富士山に行こうか? でもそしたら、もうコンテスト開始時刻には間に合わないんだろうな、などと考えながら。

 足柄峠から金時山に向かう林道を走ります。途中、いくつか運用できそうな場所があるのですが、目指すは先週下見したあの場所。林道から少し走ると、神奈川県側の広場にたくさんのアンテナが展開されているのを見ました。あちゃー! バーベキューがうらやましい。マルチオペでの参加のようです。この場所から、目的地まではもうしばらく距離があるから、かぶるとしてもそんなに影響ないだろう、と勝手に決め込んで、アンテナ群を横目に見ながら林道を進みます。

 林の中を祈る気持ちで走り、目的地が見えてきました。誰もいません! 何とか場所取り確保できました。これはうれしかった。こうなるとテンション上がりまくり。最大の懸案事項の場所取りに成功したのだから。

早速、設営

 移動地は上り坂の脇なので、水平の場所を探すのが大変。でも、ここで水平をいかに出すのかがその後の作業に大きく響くのは良く判っているので、とにかく水平な場所を探しました。最終的には砂利で高さ調整し、タイヤベースをほぼ水平にセットできました。


13年くらい前に、鉄工所で作ってもらったタイヤベース。
フジインダストリのものより強いが、イコーカやいこみゃあよりも軟弱。
水準器が両面テープで貼られていて、水平状態が一目瞭然。

 伸縮マストはFAP714+2mの特別バージョン。これにアンテナをセットします。アンテナと言っても、予め製作していないので、現地で製作です。製作といっても、ACコードを裂き、釣竿に沿わせてビニールテープでところどころ固定するだけなので、とても簡易的です。給電部近辺は塩ビパイプのVP25を使用し、その先端に釣竿を入れる予定だったのですが、微妙に入らない。VP25、2本はそれぞれ違うメーカーなのですが、片方には簡単に入り、もう片方には入らないのです。同じVP25でもメーカーによって内径が違うとは・・・。仕方ないので、電動ドリルで内側を少し削り、なんとか入れ込めるようにしました。


アンテナ細部


調整時の様子
上のアンテナを6mhに上げてSWR測定中

SWRアナライザーでは11.8MHzでSWR最小。携帯電話で逆算して、1.1mカット。そしたら、SWRボトムが14.5MHzになってしまい、結局、継ぎ足しました。

 
右が調整前 左が調整後
このあと、マストをフルアップしたら、さらにSWRは下がった。

 作業中、段々と霧雨のような雨が降ってきました。体力的にもかなり厳しく、少し休んで、おにぎりの1個でも食べたい気分。しかし、もう時刻は18:00近く。暗くなる前にとにかくアンテナを設営する必要があります。休みたい気分を我慢して、ひたすら作業を進めます。2本分のロータリーダイポールを作成し、マストを上げる。
 気分が焦ると良くないことが起こるのは常です。やってしまいました! 2段目でマストすっぽ抜け。久しぶりの移動コンテスト、勘が鈍っていたのでしょう。バランスを崩さないように地面にマストを下ろし、事なきえました。まだ上のアンテナしか上がっていなかったのも助かった要因かと思います。

 その後は、慎重にマストを伸ばしていきましたが、最後の1段を上げる体力的自信がなく、7段で終了しました。これで上が13mh、下が9mh。

 今回は仕事場から直行ということもあり、電動ドライバー持参で行ったのですが、これはとても役に立ちました。ナットを回す速さが格段に違う!

 そんなこんなで、無事アンテナが上がったのが18:50.もう辺りが暗くなっています。


暗くなる前に何とかアンテナが上がった。

 ここから車内のセッティング。無線機もパソコンも無事動作しました。

 辺りは暗くなっているので、車の中にも虫が入り込んできた。この場所は小蝿みたいな虫やアブが飛び回っていて、とてもうるさい。

 しかし、やっとで設営完了したので、ここでコンビニ弁当で腹ごしらえ。やっとで夕食です。


IC-740の下に置かれているのがスタック切り替え機。
上のみ、下のみ、スタック、スタック逆相の4つのパターンが選べる。
パソコンはPanasonicのCF-S23というWindows98マシン。トラックボールがお気に入り。
どれも古い機器です。

 弁当を食べながらワッチすると、近隣諸国の信号しか聞こえない。中国やらインドネシアオーストラリアのMM局やら。CQを出しているYBを呼んで、今日、初交信。一応、電波は飛んでいっているみたいです。

 コンテスト開始までまだ1時間あります。少し余裕ができて、ちょっとだけ休憩。設営は無事済みました。赤ちゃんの名づけの本を読んで、色々と考えます。名づけは難しいね・・・。

コンテスト開始〜1日目

 20:50頃、JJ4CDWが強力に入感。リポート交換をします。このオープンのままコンテスト突入か?
自分も周波数確保に動き、14.052MHzを確保。ここでCQを出すことにします。

 21;00、コンテスト開始! CQ数回空振りの後、21:01にJF1KMLに呼ばれて、初めの1局目です。その後、数回の空振りCQに耐え切れず、早速、もう1つのVFOで呼び回りです。周波数確保競争が激しくないので、ほどほどに呼びまわりも進みます。21:11、コンテスト前に交信したJJ4CDWに呼ばれる。先ほどよりもかなり信号は弱くなっていました。どうもコンディションは下降気味らしい。

 伊豆の移動局はいないのか?と探し、21:14にJK1YMM/2と、21:17にJA2YFI/2と交信。どちらもマルチオペなので、この部門の2エリアのシングルオペは自分だけか?
 
 2分1局を目標にレート維持を図ったが、イマイチなコンディションと、関東へのそこそこの飛びで、結局、最初の1時間で26QSO15マルチ。半分が1エリア、半分がその他のエリアといった割合。いつも思うんだけど、CQ出している時は、続けて呼ばれる時と、空振りが連続する時が交互にやってくる。空振りCQが3分ほど続いて、呼びまわりに回ろうかと思うと、突然、連続して呼ばれたりします。

 ガラスには水滴がついているのが見えます。どうも、本格的に雨が降り出したようだが、ヘッドホンをしていると雨は気にならない。しかし、問題はノイズだ。遠くで稲妻が光る。ゴゴッという雷の音が聞こえてくる。段々その感覚が短くなり、バンド中もノイズだらけになってきた。ノイズレベルは段々高くなり、稲妻と同時にガガッという大きなノイズが入り、いったんはノイズがなくなる。その後、また段々ノイズレベルが上がり・・・それが繰り返し起こった。

 電離層正規伝播の6,7,8エリアの信号も、いまいち強くないし、3エリアの信号はかなり弱い。弱い信号はノイズでコピーに手間取る。コンディションはあまり良くない様だ。22時台に21QSO8マルチ、23時台が17QSO3マルチ。

 CQ周波数はずっと14.052MHz近辺をキープ。上から混信を受ければ下へ数100Hz動かし、下から混信を受ければ上へ数100Hz動かし、140.515〜14.052MHzの500Hzの間をさまよっていました。

 アンテナ位相切り替え機を操作してみるのだが、やはり上アンテナのシングルが、どの局に対しても強い。これではスタックにした意味がないなぁ、などと思っていた。4mしか離れていないのだが、下アンテナとの差も大きい。

 国内コンテストにしては高速のCQ TESTが聞こえてきた。コールサインをコピーすると、Uゾーンやら東欧やら。どうもDXコンテストもやっているようだ。こちらのCQに対しても、ヨーロッパの局が時折呼んでくるのだが、何のコンテストかわからないのでナンバーの送りようがない。そのうち、JAのコンテスト周波数がヨーロッパの局で埋め尽くされたので、コンテストは中断。0時に寝ることにしました。

真夜中

 発電機を止めると、辺りは真っ暗。虫の声が良く聞こえる。一人で車中泊は久しぶりだ。携帯電話のアラームを5:30にセットして就寝。
まだ少し蒸し暑いので、車のクーラーを入れたり消したり。しかし、良く寝付けない。朝になるのが待ちきれなかった。かと言って眠れない。少し寝たと思ったら目が覚める。まだ朝まで時間がある。

 3時を回った頃、寝付けないのでFMラジオを聞いてみた。深夜放送なんて何年ぶりに聞くんだろう。素人っぽい喋りの放送を少し聞いていたが、それも飽きたので、発電機を回して14MHzをワッチ。ZD8が聞こえたので、数回呼ぶがヨーロッパの壁に阻まれ、とってもらえなかった。それでも時折JAを拾っていたから、自分の設備はDX向きではないと認識しました。

 ずっと山に一人ぼっちだったのだが、3:30頃に何台か軽トラックが通り過ぎていった。金時山に向かう人たちなんだろう。

コンテスト2日目

 少し意識がなくなっていたら、いつの間にか辺りが明るくなってきた。どうせよく眠れないのだからと、携帯電話のアラームがなる前に起きることにしました。4:45。
 まずは発電機に給油。注意力不足で、少しガソリンをこぼしてしまった。ガソリンが付着したまま発電機を回すのも少し怖いので少し時間を置くことにした。でも、その時間ももったいないので、マストの最後の1段を伸ばすことにした。いくら上にロータリーダイポールが2本しか上がっていないと言っても、最後の1段はきつかった! これでフルアップ。上が15mh、下が11mhです。

 その後、発電機を回し、パソコンを立ち上げ、2日目のスタートです。

http://www.youtube.com/watch?v=zR96EQHKKs8

 初めにワッチしたときはJH3YKV/3しか聞こえなかったが、自分がCQを出してしばらくしたら、他の局のCQも始まっていた。もうヨーロッパの局は聞こえないが、国内の信号も弱い。かなり弱い信号もがんばって聞いていたら、かつーんとAGCフルスイング。早速CQを出している周波数を探し出してコール。JQ1YSR/1でした。信号の強さから言って、来る途中に見えたマルチオペのグループなのだろう。こちらのはかぶらないかな? こちらが後から来て、かぶるんじゃ迷惑かな?と思い、アンテナを回してみると、1点だけ信号が振り切らない方向があった。ダイポールアンテナの8の字特性のヌルの方向なんだろう。これでしばらく続けた。

 30分ほどでJQ1YSR/1が聞こえなくなったので指向性を南西-北東方向に戻してCQ。シングルオペのマルチバンド参加だろうと思われる局のCQもいくつか聞こえる。夜の間、ローバンドをやり、日の出とともにハイバンドに上がってきたのだろう。

 最後のマストを頑張って上げた効果があり、下のアンテナも上のアンテナと同じように聞こえるようになりました。2m違うだけでも結構違うらしい。

  
頼もしい助手の諸君、2日目もがんばってくれたまえ!

段々オープンしてきた

 06:23 JR8VSE/8とQSO。599だ。電離層伝播がまともに使えだしたようだ。他の北海道の局を探すが、あまり聞こえない。関東の局とのグランドウェーブで地道に局数を重ねる。呼ばれだすと続く。おにぎりを食べてお腹を落ち着かせる。

 07:09 JE6ETN/6とQSO。西方面の電離層伝播も良くなってきたようだ。まだやってないマルチがたくさんあるので、探すのだが、中々増えない。それでも、7時台はペースが良く、23QSO。

 8時台、バンド内アクティビティも上がってきて、電離層の状況もよくなってきた。今回最高レートの29QSO。コンディションの上昇とともに車内の温度も上昇。車のエンジンは回しっぱなしでエアコンも掛けっぱなし。あまり環境に良くないね・・・エアコンを掛けているのに喉がかわくので、水分補給。ただ、水分を取りすぎると、出てくる間隔も短くなってしまうので注意が必要。

 9時台も同じような状況だが、段々ペースが落ちてくる。車内に入り込んだアブもブンブンうるさい。時々、叩いてみるのだが、逃げられてしまう。そのうち、手首を指されてしまった。痛痒い。

 マルチも気になる。まだ9エリア局と1局も交信していない。6,7,8エリアは電離層伝播でそれなりに聞こえるのだが、中距離の地域はかなり弱くしか聞こえず、辛抱のオペレートが続きます。

 10時になったら発電機に給油しようと思ったが、そこそこに呼ばれていてシャックを離れられない。10:20最後の給油。

 裏ワッチしていると、他局が自分にとってニューマルチの局に呼ばれている時があります。その時は、そのすぐ上でCQを出して、呼んでもらうのを期待するのだが、中々うまくいかない。

 今回は、@47がそうだった。しかしながら、その後、普通にCQを出していたら呼んでもらえた。JS6OFT/6局、ありがとうございます。貴重なニューマルチでした。ちなみに、今回はALL JAや6m&downと違って、@47が珍マルチだったようだ。僕もJS6OFT/6局としか交信していない。

 11時台はかなりペースダウンして、焦りが出てきた。しかし、なぜか11:45から立て続けに呼ばれて、15分で12QSO。何とか時間辺りのレートが格好がついた。

スランプ

 残り3時間の12:00の時点で201QSO、このままオペレートしたらどういうスコアになるんだろうか? どこを目指せばいいんだろうか? それが気になりだして、JE1SCJのコンテストレコードのページを携帯電話で開いた。ただ、この移動地は携帯電話がつながりにくく、ページを開くまでにかなり時間が掛かった。アンテナマークは2つほどついているので、複数の基地局の電波を拾ってしまっているのだろう。

 過去のエリアレコードは215x50x2=21500のようだ。ここが狙えるか? まだマルチは47しかないので、逆算すると、229QSOでエリアレコードになる。残り3時間で28QSOすれば良いので、何とかなるかもしれない。しかしながら、マルチが増えれば少ないQSO数で目標に到達できる。この時点でまだ9エリアの局と交信できておらず、ダイポールにもかかわらず、9エリアに指向性が向くようにアンテナを回してみたが、そう簡単には呼んでいただけない。

 マルチが増えないなら、局数で攻めたいのだが、バンド中、全てdupeの局しかCQが聞こえない。仕方ないので、空振りでも良いのでCQを連発する。えてして、こういう迷いがある時はペースが落ちる。ペースが落ちればだれるし、焦る。最悪のスパイラルに陥る。実際、自分もこのスパイラルに陥ってしまい、かなり焦りました。しかも、空電がひどくなり、ノイズレベルでS=2くらい常時振っている状況・・・。睡魔も襲ってきて、CQ自動送出のまま寝てしまった。最悪。12時台はなんと5QSO。これではエリアレコードに届かない。

突破口

 ノイズのせいで弱い信号が聞こえない。何か良い方法がないかと思案してみる。そうだ!今日はダイポールスタックなのだから、いろいろなパターンを試せば良いのだ! ためしに下アンテナシングルにしてみたら、なぜかノイズが感じられない。同じ場所にたった4mの高さの違いだけの2つのアンテナで、こんなにもノイズレベルが違うとは驚きでした。

 これで少し先の展望が見えてきた。下のアンテナでCQを出し続けた。裏ワッチでJH0NEC/0が強力に聞こえてきた。この局とは11:48に交信しているが、その時よりもはるかに強い。やった!近距離が開いてきたに違いない。ここで、またスタックの効果を試してみた。当初の目論見どおり、逆相スタックがかなり強い。(シングルに比べてS=2〜3は違う。) やっとでスタックの威力が出た!
 ただ、スタックにすると、上アンテナで拾ったノイズも拾う。(ノイズレベルで言えば、上シングル>スタック>下シングル) そこで、逆相スタックで送信、下シングルで受信でCQを出すことにした。位相切り替え機の操作が忙しい。

 コンディションの上昇もあり、急に呼ばれ始めた。アンテナ切り替えで判るのですが、埼玉や神奈川の局でも逆相スタックが強いパターンがあった。7MHzのように、真上に飛んで真下に電波が降りてくるような状況なんだろう

ついに!

 12時台のスランプは何だったのか?と思うほど、13時台に入ってペースが上がってきた。13:33 JA9BGLに呼ばれて、今回初めての9エリア。信号は強く、近距離オープンが続いているのが判る。ただ、近距離がいっせいに開いているわけではないようで、特定のエリアに立て続けに呼ばれたりする。オープンする範囲が頻繁に移り変わっているようだ。
 それはそうと、初9エリアで今回のAJD達成。もちろん1マルチ増で、219x48になった。48マルチあれば224QSOでエリアレコード。あと5QSO。俄然、目標に近づいた。

 13:47にJJ0PERと交信。これで224x48x2=21,504 これでエリアレコード突破です。JJ0PER@08の信号も強く、位相切り替えでも逆相スタックが強いので電離層による近距離オープンは続いていることが判ります。あとは行ける所まで行くぞ!

終了まで

 関東の局に立て続けに呼ばれたが、これも電離層伝播。ここまで開いてくれて助かった。
そして最後の1時間。14:04にJH9DRXに呼ばれて@28も取れた。願わくば、あと1マルチ増で50にしたい。しかし、望み薄か。

 14:17から立て続けに愛知の局に連続して3局呼ばれたが、その後、全く呼ばれなくなった。波が過ぎていったのか。

 終わりまであと30分。空振りCQが続く。呼びに回っても新局はなし。長かったコンテストもあと少しで終わりと思うと、名残惜しくなってくる。逆に言うと、あと30分できるだけのことをしたい。

 最後までCQを出し続けることに決めて、とにかくCQを連発。残り10分の14:49にJI3OQO局と28分ぶりのQSO。次に呼んでいただいたのがJA8DIV@104。土壇場、最後の10分で1マルチ増でした。これはうれしい。ついにマルチも50の大台に乗りました。

 しかし、その後が続かない。最後にCQを出そう、という局なんだろう、「?」を打たれるが、負けじとCQを出す。呼ばれないが。

 カーラジオをつけ、最後の時報を聞く体制に入った。14:59.あと1回CQを出せるか? 最後のCQに、なんと応答があった。JA1LDZ局ありがとうございます。QSOの途中で時報の音を聞いたが、ナンバー交換はしっかり時報の前に済ませることができた。


撤収前に撮影
ノーステーなので、少し傾いた。


発電機 Eu9i 久しぶりの活躍でした。

結果は

2011 Field Day contest
JG2TSL
電信部門シングルOP14MHzシングルバンド

245 QSO x 50multi x 2 = 24,500 point


でした。

 エリアレコードを達成しているので、エリア入賞はできたと思います。全国1位は難しいかな? 中日本はやっぱりハイバンド不利。

 グラフにするとこんな感じ。




 マルチマップはこちら

早く帰らなければ

 夜には病院に行きたいので、とにかく撤収を急いだ。途中、雨が降ってきて、グジャグジャになりながらも撤収終了。最後に落し物チェックをして、現地を出発したのは16:07だった。シングルバンドは設営撤収が簡単なのがいいね。

 途中、撤収中のJQ1YSR/1サイトにも寄ってご挨拶。後から来て、混信になったのではないかと申し訳なく思っていたのだった。話を聞くと、2TXでの参加ということで、14MHCWにへばりついていた自分とはあまり混信にならなかったようだ。少し安心しました。お空で何度かお相手いただいているJQ2NBN局とも初アイボールQSOでした。

 早々にJQ1YSR/1メンバーの皆さんとのご挨拶を終え、静岡へと向かう。高速道路を飛ばして・・・

 自宅には18時前に到着。積み下ろしを完了したら、10分ほどだけ横になって休憩して、病院へ直行。面会時間終了間際に病室に到着しました。今日も嫁さんは変わった様子はなかったようで一安心。
出産予定日は8月18日。無線どころではなくなる日々が始まりそうです。

 僕にとって、「Yesの新譜」、「今回のコンテスト」、そして「我が2ndの誕生」がセットになって、今後、思い出されることになるでしょう。
無事に生まれてきてくれよ!


 QSOしていただいた皆さん、ありがとうございました。またのQSOよろしくお願いします。


ありがとねー!

2011/8/13


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